2014 Fiscal Year Annual Research Report
環境負荷の少ない都市空間の創造に資するエコマテリアルの開発と設計指針
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26281057
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
吉田 篤正 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60174918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島崎 康弘 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (20584270)
橋田 祥子 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員(客員研究員) (30398903)
安田 龍介 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50244661)
木下 進一 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70263209)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大気熱負荷 / 日射反射率 / 断熱 / 蒸散量 / 緑陰 / 温冷感 |
Outline of Annual Research Achievements |
拡散光と直達光の両方が考慮可能なふく射要素法を用いて,塗膜の日射反射性能を予測した.さらに,分光光度計による実際の塗膜サンプルの半球分光反射率を測定し,その結果と比較することにより予測の妥当性を評価した. 粒径や粒子内の空隙構造の異なる粒状多孔質を対象として,その熱・水分移動特性を実験的に評価する.風速,温度,湿度が制御できる小型風洞を用いて,異なる構造を持った試料に対する蒸発特性を評価した. コンクリート製の建物模型を用い,熱処理木材で被覆したときの熱処理温度の違いによる大気熱負荷への影響および木製外装材の厚さと躯体との隙間空間の違いによる建物内部への熱負荷の影響について評価した.また木製外装で被覆したときの室内空調負荷の削減効果についても評価した. 街路樹のような孤立した樹木の熱収支評価に関連して,様々な樹種の蒸散量測定を行い,それらの蒸散特性の違いを評価するとともに,そのデータを用いて個葉の蒸散速度を予測するための蒸散モデルのパラメータ同定を行った.また,孤立樹木の熱収支をその樹冠内部の詳細構造を考慮した解析手法について検討した.樹冠構造の構成は植物の生育ならびに形状を三次元でモデリングできる景観予測システムにより生成されるCADデータを応用した. 人体の熱収支に基づく体感指標として人体熱負荷量を提案した.人体熱負荷量は定常状態において一定の精度で温冷感を予測することが可能である.また,その相関関係は複数の実験条件で確認することができた.既往の研究結果とも一致した.低木植え込みにより,反射日射量や赤外放射量が減少し,温冷感も改善の傾向が認められた.樹冠で形成される空間は直達日射の照射を受ける場所と比べて生理的,心理的に良好な状態であることが確認された.都市郊外の屋敷林では日射量,気温が軽減され,過ごしやすい温熱空間が形成される事が確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エコマテリアルとして取り上げた日射高反射率材料、保水性材料、木装材料および植物葉群について、当初予定していた当該年度の研究課題については概ね達成されたと考えている。これらのエコマテリアルの物理的な熱性能に加えて、温熱ストレスの改善に関する評価に基礎的な知見が得られている状況であり、この点に関しても概ね当該年度の目標を達成したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
エコマテリアルとして取り上げた日射高反射率材料、保水性材料、木装材料および植物葉群について、物理的な熱性能に関して更なる理解を深めることを予定している。また温熱ストレスの改善に関する評価に関しても、非定常変化があるより現実的な状況で取り組みをしていく予定である。
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Causes of Carryover |
被験者実験の進捗状況の関係で、平成26年度に購入予定の生理量測定装置を次年度の物品費として繰り延べしたため、物品費が計画金額を下回っています。研究成果を海外を含めた学術講演会で発表したため、旅費の予定金額を上回っています。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費に関しては、繰り延べした生理量測定装置を購入予定です。旅費に関しては研究成果を海外を含めた学術講演会で発表を予定しています。人件費・謝金、その他に関しては被験者実験、データ解析の関係に費用を充てる予定です。
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