2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26281064
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小幡 範雄 立命館大学, 政策科学部, 教授 (70224300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 裕之 立命館大学, 政策科学部, 教授 (40253330)
平岡 和久 立命館大学, 政策科学部, 教授 (70259654)
石原 一彦 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80388082)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公共システム管理 / 災害廃棄物 / 有害物質 / アスベスト / 震災 / 行財政 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の成果として、東日本大震災の被災地調査によって得られた実態や知見に基づいての、地域防災計画における有害性災害廃棄物対策に関するアンケート調査の実施とその集計結果の分析が挙げられる。 継続的な東日本大震災被災地での現地調査において、原子力発電所事故の影響により遅れている福島県を除いた自治体において、発生した震災廃棄物の処分は概ね完遂しており、すでに過去の出来事となりつつある。しかし、行政としては引き続き復興に係る業務に当たる必要性も背景として、震災廃棄物の管理や処理についての教訓の検証は十分に行われておらず、防災対策の内容も旧来のままである状況が推察された。そこで、災害発生時にアスベスト等有害性災害廃棄物からの大気環境汚染の予防対策を担うことになる全国の大気汚染防止法の権限を有する地方自治体を対象として、地域防災計画上や有事の際の対策準備状況に関するアンケートを実施した。その結果、地域防災計画上でアスベスト対策を規定している自治体は40%程度に留まっており、対策の重要性や必要性を認識している割合の方が多いながら、平時からの有害物質発生リスクの有する施設・建築物の把握を行っている自治体は約19%、災害発生時に早期に整備と管理が必要となる災害廃棄物の一次仮置き場の候補地確保を行っている自治体は約24%と、今後の大規模災害発生時を想定しての対策強化の徹底や進展が行われていない実態を示す結果が明らかとなった。 対策状況については各自治体の置かれている条件や担当部課の組織体制によって左右していることも考えられ、それらの要素も考慮した上で集計結果を精査・分析し、H28年秋頃に研究論文として発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度も東北地方の現地調査や資料収集により、東日本大震災被災地の実態解明を進めてきている。特に今後、本格的な倒壊建築物解体や災害廃棄物処理が進められる福島県南相馬市、浪江町の市街地や仮置き場・分別場、焼却施設等の訪問・視察を行ってきている。また、大規模災害時の対応にも直接反映されることになる平時からの公害・環境対策の取組状況の調査のため、実際の建築物解体現場での対策遵守状況の調査を行ってきており、全般的な現地調査活動は概ね遂行してきている状況にある。これらの調査結果については、最終年度における成果のとりまとめに活用していく。 その一方、予定していたアンケート調査の内、地域防災計画における有害性災害廃棄物に関する対策状況の全国的な調査は実施したが、東日本大震災被災地を対象とした災害廃棄物処理の経験・実績に関するアンケート調査についてはまだ実施できていない。また、福島第一原子力発電所事故を鑑みての、国内の原子力発電所立地およびその周辺地域の自治体に焦点を絞っての実態調査についてもあまり遂行できていない。この背景として、本年度に研究代表者・分担者の所属する大学のキャンパスの移転用務が発生したため、改めてプロジェクト活動の研究環境が整備されるまで予想以上に労力と時間を要したことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は本研究の最終年度に当たるため、計画上でまだ未遂行のアンケート調査と実態調査を早期に完了した上で、年度内の調査活動・研究結果の全体的な成果のとりまとめに注力していく。具体的には学会での企画セッションの実施を想定しての研究発表、研究論文については学術雑誌や大学紀要において特集を組む形での目標設定の上、まとまった研究成果発信に取り組む。 当初の研究計画とその成果発信に加え、近年の大震災として阪神・淡路大震災や東日本大震災に匹敵する規模である熊本地震が平成28年4月に発生したため、今震災についても調査対象として取り組む必要に迫られている。従来よりの調査研究と成果発信をより高度のものとすると同時に、熊本地震での被災地での災害廃棄物対策の改善・向上に寄与するためにも、可能な限り熊本地震の実態調査にも取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画に対して、一部の研究調査作業(東日本大震災被災地を対象としたアンケート調査や原発立地地域を対象とした実態調査)が遅れていることで、そこに係る経費(特に旅費)が次年度使用となったためである。アンケート調査の実施に際しても、同時に主要な自治体に対してのヒアリング・フォローアップ調査が必要になることを想定しており、実支出額の状況からも概ね合致している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は「理由」に記した通り、進捗の遅れている調査活動を中心に使用する。また平成28年度分の研究費と合わせて、熊本地震の被災地調査に係る旅費にも活用する。その上で、それ以外の研究費は主に研究発信に係る経費(学会発表の場合は開催地への旅費など)として執行していく予定である。
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Remarks |
本研究プロジェクトで運用しているホームページとして、アンケート調査実施の案内やアンケート票の電子フォームの配布に活用している。
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Research Products
(1 results)