2016 Fiscal Year Annual Research Report
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26281064
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小幡 範雄 立命館大学, 政策科学部, 教授 (70224300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 裕之 立命館大学, 政策科学部, 教授 (40253330)
平岡 和久 立命館大学, 政策科学部, 教授 (70259654)
石原 一彦 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80388082)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 公共システム管理 / 災害廃棄物 / 有害物質 / 震災 / 行財政 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の震災事例調査を中心として、有害性災害廃棄物を巡る実態や政策課題についての研究調査の成果を、学会の企画セッションならびに学術論文として発信していった本研究課題の明確な成果公表として、環境経済・政策学会2016年大会において企画セッション「大震災における有害性災害廃棄物対策の検証」を実施し、三題の研究報告とパネルディスカッション形式の総合討論を行った。 小幡範雄報告「東日本大震災でのがれき仮置き場の取り扱いとその跡地利用」では岩手県、宮城県における東日本大震災時の仮置き場を対象に、一次仮置き場の閉鎖後の状況、二次仮置き場の立地選定の経緯、運営時の課題、返却後の利用方法について検証を行ったものである。 平岡和久・南慎二郎報告「震災によるアスベスト飛散・曝露リスクと自治体の対策」では震災時に発生するアスベスト飛散やがれき処理・被災建築物解体等におけるアスベスト飛散リスク等に関して求められる対策を検討するとともに、自治体による対策の現状と課題を明らかにするため、資料・ヒヤリング・アンケート調査に基づいて検討を行った。 南慎二郎報告「有害性災害廃棄物の管理処理動向と被災地環境への影響」では被災地域における有害物質の環境影響の問題を考察するため、災害廃棄物の管理処理の実態や化学物質管理の記録から把握を行った上で、災害時の環境汚染を予防・軽減するための政策的課題を明らかにするものである。 以上の学会セッションでの小幡報告と平岡・南報告に加え、災害時まで想定しての全般的なアスベスト対策の考察として小幡範雄論文「アスベスト災害予防のあり方についての考察 平常時と震災時にどう対応するか」、過去に実施したアンケート調査結果を元に分析・検討を拡充した南慎二郎論文「阪神・淡路大震災でのアスベスト環境汚染と総合的防災政策」と共に、大学紀要『別冊政策科学』の特集号の1部として出版・成果発信を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度が本科研費の当初の最終年度であったので調査活動と研究成果のとりまとめを順次進めてきた。さらに期間途中で発生した熊本地震の実態調査や自治体対策の調査検討にも早急に対応しつつ、柔軟に研究活動を展開してきた。ただし、成果発信と研究調査の十分な完遂のために若干の追加期間が必要となったため、1年度の期間延長を行った。 研究成果はまとめて研究実績に記した大学紀要『別冊政策科学』の特集号に掲載するものであるが、この発刊が平成29年度となり、その出版に係る経費支出の手続きや納品も同年度となるため、研究費執行上の事情から研究期間の延長が必要となった。さらに研究計画上の原発立地自治体を対象とした調査活動が若干遅れていたこともあり、そのための期間を十分確保して、調査研究を拡充することがより有意義と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定から期間延長をしたこともあり、調査研究を完遂した上で成果発信を拡充することを目指していく。さらに、より一般的な大規模自然災害に対する防災研究へと発展していくため、近似的な問題を抱えたアメリカの災害事例(ハリケーンやトルネード等)とその対策についての調査研究も視野にいれて研究推進を行う。 成果発信については平成29年度中に開催される学会や国際会議での発表の機会がそれだけ増えるため、それらを積極的に活用していく。 今後の新たな展開として次の構想を有している。それは、大規模な自然災害の発生によって生じるアスベスト等の有害化学物質汚染の防止・抑制およびそれによる健康影響の調査・管理の対策の実態を日米の比較研究を通じて明らかにし、各国の法制度や行財政システムの下における「防災の公共政策」の課題を検討するものである。この研究構想は本研究課題の成果が下地としてあり、次の展開の目標に向けての研究調査活動を推進していく。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」で記したように、大学紀要における研究成果発信を行うのに際し、紀要の発刊が平成29年度となり、その出版に係る経費支出の手続きや納品も同年度となるため、研究費執行上の事情から研究期間の延長が必要となったことが主な理由である。さらに若干の調査活動の遅れから十分な調査活動期間を確保する理由も重なった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大きくは大学紀要での成果発信に際して、その出版・印刷に係る経費であり、残りの助成金によって研究計画に則っての調査活動の完遂および新たな研究課題への展開のために使用する。
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Research Products
(8 results)