2014 Fiscal Year Annual Research Report
生産のアジア化と基盤技術産業の国際分業に関するアジア間比較研究
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26282065
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田口 直樹 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60303252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 幹大 摂南大学, 経済学部, 准教授 (00435992)
植田 浩史 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (10213357)
関 智宏 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (40434865)
藤川 健 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (50454484)
粂野 博行 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (80319590)
大田 康博 徳山大学, 経済学部, 教授 (90299321)
西岡 正 兵庫県立大学, 経営研究科(経営専門職大学院), 教授 (90369116)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アジア / 基盤技術 / 国際分業 / タイ / 台湾 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ものづくりにおける基盤技術産業の国際分業の実態を明らかにすることで、グローバル化を前提とした日本とアジアのものづくりにおける共生的な関係の構築に向けた技術的課題を明らかにすることを目的としている。とりわけ、IT化を背景とした後発工業国の工業技術発展の到達点と限界、日本の優位性とグローバル化時代における課題について、ものづくりにおいて最も基礎的かつ不可欠な技術を対象として分析することを目的としている。 今年度は、台湾、中国、タイを中心にして基盤技術の実態調査を行った。台湾については、伸線工業を中心として、台湾のローカル系伸線メーカーと日系の伸線メーカーがアジア戦略として一部資本提携しているローカル系伸線メーカーを調査することにより、日本の伸線工業の優位性の有無と台湾系伸線メーカーの現状を明らかにし、国際分業の実態を調査した。中国に関しては主にローカルと日系の成形部品メーカーよび日系の自動車部品メーカーの中国市場での市場の競合関係および棲み分けの実態を問題意識として調査を行った。タイについては、基盤技術を支える日本中小企業の海外進出の実態の解明を問題意識として、東大阪市や八尾市といったいわゆる東大阪地域の産業集積に立地する中小企業のうちでタイに進出している企業の実態調査を行った。 本年度は、伸線、成形部品、自動車部品を主な対象として実態調査を行ったが、個別の産業によって国際分業上の技術構成における比較優が異なることが想定されることが明らかになった。例えば、自動車部品工業でみれば、依然として日系メーカーの優位性のもとに国際分業が形成されているが、伸線工業でみれば、台湾企業がマス市場において圧倒的な優位性をもっており、一部、高付加価値分野でも優位性をみせているなどである。今後、国をクロスして調査し、より本質的な基盤技術分野の分業構造を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究計画の到達点は、概ね順調に進展している。 本研究では、基盤技術産業として金型、伸線、鋲螺、ベアリング、繊維機械、自動車部品工業を調査対象とし、裾野産業から国際分業の実態を見ることで各国の工業基盤となるものづくりの本質的な到達点を明らかにすることを目的としている。平成26年度は、金型、自動車部品、伸線工業を中心に中国、タイ、台湾を調査した。伸線の調査として鋲螺は一部入っているが、ベアリング、繊維機械については調査することが出来ていない状況である。しかし、金型、自動車部品、伸線については26年度依然の予備調査も含めて、おおよその実態がつかめてきているので、次年度以降、ベアリングや繊維機械に軸足を置きながら調査を行うことで、計画を進めることだきると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アジア間比較研究ということで、特に中国、台湾、タイを中心に調査を行うことになっているが、研究推進体制としては、中国調査班、台湾調査班、タイ調査班という形で国毎にプロジェクトチームをつくって調査を行っていく。各国調査班の責任で各産業の当該国の調査を行い、調査結果について定期的に行っている工業集積研究会において意見交換し、分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
海外現地調査の通訳や調査データのとりまとめに関する人件費およびその印刷費等を予定していたが、通訳に関しては雇用せず、平成26年度の調査データのとりまとめおよび印刷の執行は次年度に行うことにしたため、この分が平成27年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の調査結果の報告書を平成27年度に公表するため、繰り越した予算をこれに充当する予定である。
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