2015 Fiscal Year Annual Research Report
ウォーターミストによる消炎現象に関する基礎学理の体系化と展開
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26282098
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| Research Institution | Tokyo Denki University |
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Principal Investigator |
吉田 亮 東京電機大学, 工学部, 教授 (40105680)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西岡 牧人 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 教授 (70208148)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 消火 / ウォーターミスト / 拡散火炎 / 予混合火炎 / 爆発 / 火災 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
対向流拡散火炎の研究では、前年度完成したウォーターミスト発生装置を用いて、広範囲の流量および粒径のミストにより、消炎限界速度勾配の測定が行われた。その結果、空気中のミストの質量分率の増加に伴い消炎限界速度勾配は減少するが、質量分率が大きくなるとミスト流量の変化の影響は小さくなることが明らかになり、効率的に消炎するためには火炎に伸長を与えることが有効であることがわかった。予混合火炎の研究においても、ミストの質量分率と粒径を広範囲に変化させ、燃焼速度がミストの質量分率と伸長率の増加とともに低下することを明らかにした。ミストの粒径が大きい場合には、ミスト粒子に働く慣性力が大きく完全蒸発する前に火炎を突き抜けるが、本研究ではザウター平均粒径が90 ミクロンであってもその効果が小さいことがわかった。予混合火炎に関しては着火現象に及ぼすウォーターミストの影響が新たに問題となり、その解明ための実験装置の構築を行った。予備実験ではウォーターミストが予混合気の着火確率に大きな影響を与えていることが明らかとなった。同軸流拡散火炎の研究では、火炎のリフト高さに及ぼすウォーターミストの影響が明らかにされ、空気流にウォーターミストを添加することにより、リフト高さが著しく増加し、消炎が促進されることが明らかとなったが、リフト火炎底部の部分予混合火炎の燃焼速度の低下はミストが一様に混合した場合よりも小さく、リフト火炎底部に流入するウォーターミストには濃度分布があることがわかった。一方、数値解析では、詳細反応数値計算により軸対象対向流予混合火炎に与えるウォーターミストの影響を調べ、粒径が大きいほど消炎効果が高いことを明らかにした。この結果には実験結果と矛盾する点があり今後検討を要すると思われる。また、辻バーナ型対向流拡散火炎の消炎限界に与える重力の効果を調べるための計算コードの開発を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対向流拡散火炎の研究では、前年度完成したウォーターミスト発生装置を用いて、広範囲の流量および粒径のミストにより、消炎限界速度勾配の測定が可能となり、それぞれの条件でミスト粒子の挙動が拡散火炎の消炎に及ぼす影響が明らかになった。その結果、ミストの滞留特性時間および蒸発特性時間を求めることが可能となり、数値解析で求められた反応特性時間との比較が可能となりつつある。予混合火炎の研究においても、ミスト発生装置の改良が終わり、ミストの質量分率と粒径を広範囲に変化させることが可能となり、数値解析との定量的な比較ができるようになった。予混合火炎に関しては着火現象に及ぼすウォーターミストの影響が新たに問題となり、その解明ための実験装置の構築を行った。同軸流拡散火炎の研究では、火炎のリフト高さに及ぼすウォーターミストの影響が明らかにされ、空気流にウォーターミストを添加することにより、リフト高さが著しく増加し、消炎が促進されることが明らかとなった。この研究においてもミストの滞留時間および蒸発時間がある程度見積もることが可能となり、消炎を支配している無次元パラメータを見積もる目途がついたと言える。一方、数値解析では、詳細反応数値計算により軸対象対向流予混合火炎に与えるウォーターミストの影響を調べ、粒径が大きいほど消炎効果が高いことを明らかにした。この結果には実験と矛盾する点があり今後検討を要すると思われる。また、実験で観察された重力の効果を調べるための対向流拡散火炎の消炎限界に与える計算コードが開発された。これらの研究によりウォーターミストによる火炎の消炎機構に関して多くの知見が得られ、その成果は平成27年度火災学会研究発表会(山形)、10thASPACC(Beijing)および第53回燃焼シンポジウム(つくば)で発表されている。
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| Strategy for Future Research Activity |
対向流拡散火炎の研究では、ミストの流量および粒径の制御精度を上げて、それぞれの条件でミスト粒子の挙動を詳細に調べ、ミストの滞留時間および蒸発時間を求め、ストークス数およびレイノルズ数の影響を明らかにする。また数値解析で得られた反応時間との比較よりダムケラー数を求め、拡散火炎の消炎現象をこれらのパラメータにより表す。予混合火炎の研究においても、ミストの滞留時間と蒸発時間を実験的に求め、数値解析から得られた化学反応時間との比を用いることで、化学反応速度に及ぼすウォーターミストの影響を表すとともに、火炎伸長による燃焼速度低減効果を定量化し、数値解析と比較する。さらに所期の目的にはなかったが、研究の進展に伴い解決すべき問題として明らかになった予混合気の着火に及ぼすウォーターミストの影響を実験的に明らかにする。同軸流拡散火炎の研究では、火炎のリフト高さおよびリフト火炎の消炎に及ぼすウォーターミストの影響をさらに詳細に明らかにする。この研究においてもミストの滞留時間および蒸発時間を精度よく測定し、消炎を支配している無次元パラメータを決定する。一方、数値解析では、詳細反応数値計算によりウォーターミストの影響を受けた軸対象対向流予混合火炎の燃焼速度を求め、化学反応速度に及ぼすウォーターミストの影響を明らかにする。現在までに得られた粒径の効果に関する結果では実験と矛盾する点があるため、この点を解明する。また、実験で観察された重力の効果を調べるために、新たに開発された計算コードを用いて、対向流拡散火炎の消炎限界に関する数値計算を実施する。
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