2015 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病早期診断に向けたコヒーレント・ラマン水晶体イメージング法の開発
Project/Area Number |
26282117
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加納 英明 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70334240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加治 優一 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50361332)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / ラマン / CARS / 水晶体 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病(Alzheimer’s Disease; AD)は、認知症の原因として最も高頻度にみられる神経変性疾患の一つであるため、ADの早期診断、治療法などの開発は、現在切に望まれている社会問題の一つである。最近の研究で、AD患者の水晶体に脳内にも認められるアミロイドβ(Amyloid β; Aβ)タンパク質が発見されることがわかった。水晶体を検査することによりこのタンパク質を検出できれば、ADの早期発見につながり、治癒のレベルまで病気を抑えることが可能であると期待できる。そこで本研究では,ADの診断マーカーとして水晶体中のAβにターゲットを絞り、コヒーレント・ラマン散乱の手法を用いることで、Aβの高速検出及び高速解析を行う、全く新しいコヒーレント・ラマンAD診断法を開拓することを目指し、研究を遂行している。今年度は、水晶体全体を測定対象と出来る、広域CARSイメージング装置について、光源となる白色レーザーの最適化を行った。日仏共同研究により提供された新規フォトニック結晶ファイバーにより、白色レーザーの高効率発生を試みた。その結果、白色レーザーの出力が二倍に向上し、かつ安定な発生が可能となった。そこで、本装置を用いて生体組織の測定を行い、複数の振動バンドでCARSイメージングが取得可能であることを確認した。また、倫理委員会の承認を得、次年度ヒト水晶体の測定を行う準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,日仏国際共同研究により、新しい光源、白色レーザーを開発し、それを用いた高速広域CARSイメージング装置を立ち上げることで、白内障水晶体中のAβを可視化するCARS水晶体診断装置の開発を行うことを目標としている。共同研究の過程を通して、白色レーザーの更なる最適化が可能であることがわかったため、今年度は装置の格段のスペックアップ(白色レーザー出力二倍)に成功した。本システムを用いて、生体組織のテスト測定を行ったところ、複数の分子指紋を用いたマルチカラー・CARS分光イメージングを行えることがわかった。さらに、申請書の記載に従って、CARSに加え、第二高調波や第三高調波など、複数の非線形光学過程を同時に測定出来るよう、システムを拡張した。さらに、今年度倫理委員会の承認が得られたので、ヒト水晶体の測定を行う最終準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、臨床眼科医と共に、本格的な医工連携による研究を展開している。今年度、倫理委員会にてヒトの検体を使う承認が取れたので、ヒト水晶体についてCARS分光イメージングを行い、白内障のマーカーバンドとして知られているSH、S=S結合をはじめとする様々な振動バンドをターゲットとして、Aβに由来するADの疾患マーカーを非染色・非標識にて探索する。これと並行して、ADモデル動物の水晶体についても測定を試み、知見を深める。
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