2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26282163
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 直亨 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (80273720)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福場 良之 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (00165309)
鍛島 秀明 県立広島大学, 人間文化学部, 助教 (40714746)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 顔面皮膚血流 / 味覚 / 主観的評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは,健常者が感じている主観的な味覚の良し悪しに伴って顔面の皮膚血流が特異的に変化することを報告している(2011, 2013).この手法を用いて,簡便に味覚の良し悪しを外的に簡便に評価することが可能であるかを検討することを本年度の目的とした.そこで,多くの対象者において, 厳密な実験室環境ではない状況でも,顔面の皮膚血流応答が,味覚に伴って変化するのかについて検討した. 大学のオープンキャンパスの研究室見学に来場した男女91名を対象に実験を行った.なお,本研究実施に当り東京工業大学疫学研究等倫理審査委員会の承認を得た.安静時の顔面皮膚血流をレーザースペックル法によって10秒間記録した.その後,市販の日本製のフルーツキャンディと,日本人の多くがまずいと評価する飴(フィンランド製,ドイツ製)をなめさせ,その際の顔面皮膚血流を10秒間記録した.記録終了後に飴の主観的味覚をvisual analog scaleにて確認した.飴の投与間には,水でうがいをさせ,口の中に味が残っていないことを本人に確認してから次の試行を行った. 主観的な味覚は,日本製の飴で3.8,海外製の飴で-2.3となり,日本製の飴はおいしい,海外製の飴はまずいと評価された.使用した飴が,味覚の良し悪しを引き起こしたことが確認された.一方,顔面の皮膚血流には特異的な変化は観察されなかった.我々の先行研究とは異なる結果であった.これは,被験者来室前の状態が食前・食後などの状態を含めて一定ではないことや,実験室に不慣れであることなど,様々な要因が影響したものと考えられる.顔面の皮膚血流を用いて,いわゆる実験室環境以外で,主観的な味覚の良し悪しを評価することは難しい可能性が考えられた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究実施計画で予定していた実験は完了した.ただし,主観的な味覚の良し悪しの簡便な評価法については,計算法を含めて検討する余地が残されており,これについては今後の検討課題として残された.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初通り,27年度には100名程度を対象として,情動を引き起こすビデオ視聴時の顔面の皮膚血流を記録し,顔面の皮膚血流の応答から主観的な情動を判別可能かについて検討する.また,温度刺激についての検討を開始する. 皮膚血流の評価法を改良する余地があるので,以下のような手法を検討する.これまでは額の血流であれば,額の血流の安静値からの相対変化といったような算出方法を取っていたが,鼻の血流を基準にした評価方法などを検討する.
|