2015 Fiscal Year Annual Research Report
炭素磁気共鳴分光法を活用した筋グリコーゲン枯渇運動モデルの構築と応用
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26282187
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
高橋 英幸 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 副主任研究員 (00292540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 貴 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, メディカルセンター, 主任研究員 (60169753)
亀井 明子 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 先任研究員 (10276636)
大澤 拓也 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 契約研究員 (70613496)
塩瀬 圭佑 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 契約研究員 (70708106)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 筋グリコーゲン / 磁気共鳴分光法 / 短時間・高強度運動 / 持久性運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋収縮の主要なエネルギー源の1つである筋グリコーゲンは、高強度運動によって枯渇し、それが筋疲労の引き金となる。高い運動パフォーマンスを発揮するためには、特定運動による筋グリコーゲンの減少量を把握し、それに応じた回復策を講じる必要がある。本研究では、炭素の磁気共鳴分光法(13C-MRS)を用いて、異なるタイプの運動による筋グリコーゲン低下の違いを明らかにするとともに、筋グリコーゲン回復に影響を及ぼす要因を調べることを目的としている。平成27年度は、条件の異なる持久性運動により筋グリコーゲン濃度がどのように変化するのかを検討した。70%VO2max強度での自転車運動における20分後、40分後および疲労困憊時(73.7±17.0分)に大腿部(外側広筋+中間広筋)の筋グリコーゲン測定を行った結果、それぞれ、安静時の86.5±11.7%、71.6±21.4%、60.6±13.2%まで低下した。これらの低下の程度は、筋生検を用いた先行研究よりも低く、その低下率には大きな個人差があった。これらの原因は明確ではなく、さらなる検討が必要になると考えられる。さらに、運動条件を変えた実験として、自転車運動でVO2maxを測定した際の最大運動強度の70%(70%Wmax)強度で60分間運動を行う場合の仕事量を達成するためのタイムトライアルを行わせた結果、運動継続時間は64.1±4.1分であり、筋グリコーゲンは安静時の51.1±7.4%まで低下した。以上のように、異なる条件の持久性運動における筋グリコーゲン低下の違いを明らかにするための重要な基礎的知見を得ることができた。しかしながら、十分なデータ数を確保できなかった部分もあるため、その点は次年度への繰り越し課題となる。また、前年度に十分な数の実験を実施できなかった短時間・高強度運動による筋グリコーゲン変化の検討に関する追加実験も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新しいコイルを利用した13C MRS測定で最適な測定条件を設定する上でプログラム修正の必要性が生じた。その修正はMR装置メーカーの研究開発スタッフの協力が必要となり、その修正作業に時間を要した。また、13C MRS測定で使用する、当組織における磁気共鳴(MR)装置は、研究事業の他、診療事業でも共通使用している。さらに、高強度の運動を行わせる本研究の被検者は、一定の運動習慣を行っている被検者を対象としなければならない。本年度は、MR装置の利用時間の確保と、被検者および検者のスケジュール調整が上手くできなかった部分があった。以上の理由から、当初計画しただけの十分な実験を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当組織で共通利用しているMR装置の利用時間を十分確保できるように、関係部署で連携を密にして、MR装置運用体制の整備を行う予定であり、今後はよりスムーズに実験を行うことができると予想される。これにより、H27年度に十分に実施できなかった実験の追加実験、および、H28年度に予定されている、運動様式、骨格筋特性と運動後の筋グリコーゲン回復速度との関係を明らかにする実験を十分実施可能になると考えられる。
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Causes of Carryover |
新しいコイルを利用した13C MRS測定で最適な測定条件を設定する上でプログラム修正の必要性が生じた。その修正はMR装置メーカーの研究開発スタッフの協力が必要となり、その修正作業に時間を要した。また、13C MRS測定で使用する、当組織における磁気共鳴(MR)装置は、研究事業の他、診療事業でも共通使用している。さらに、高強度の運動を行わせる本研究の被検者は、一定の運動習慣を行っている被検者を対象としなければならない。本年度は、MR装置の利用時間の確保と、被検者および検者のスケジュール調整が上手くできなかった部分があった。以上の理由から、当初計画しただけの十分な実験を実施することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し予算は、上記の理由から平成27年度に十分なデータを収集できなかった、異なる条件の持久性運動による筋グリコーゲンの変化に関する研究のための被検者謝金、交通費および実験で必要となる消耗品代として優先的に使用する。
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Research Products
(7 results)