2015 Fiscal Year Annual Research Report
職業性ストレスの新しい免疫指標の開発に関する縦断研究
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26282190
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中田 光紀 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (80333384)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 職業性ストレス / 免疫系 / サイトカイン / コホート研究 / 企業従業員 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①職業性ストレスの健康影響を縦断研究により明らかにすること、②職業性ストレスを鋭敏に検出するサイトカインを探索すること、③職業性ストレスのサイトカインネットワークメカニズムを解明することを目的として、3年間の前向きコホート研究を実施している。研究期間2年目である今年度は、大手2社の企業から協力が得られ、電子系企業従業員400名と化学系企業従業員2000名のコホートを形成できた。サイトカインについては、初年度において10種類(インターロイキン(IL)-1, IL-2, IL-4, IL6, IL-8, IL-10, IL-12, IL-13, 腫瘍壊死因子-α、インターフェロン-γ)測定し、測定値において妥当な結果が得られた。初年度において、対象企業の役員に対する全体結果の説明、個々の社員へのデータフィードバックを11月までに終了し、データのクリーニング等を2月に終え、現在はデータの解析を行っている。これらの解析結果を整理し、学会発表と論文発表を目指して準備中である。本年9月にキューバで開催される国際生理心理学会において、「主観的健康感とサイトカインの関係に関する実証研究」ならびに「楽観性と免疫機能の関連」について発表予定である。そのほか、職業性ストレスならびに過重労働とサイトカインに関する横断研究の結果について学会発表ならびに論文を執筆する予定である。連携研究者とは別の論文の執筆の準備にもとりかかっている。 その他、研究協力機関である福岡労働衛生研究所がこれまでに収集した健診データの分析を行い、学会発表ならびに論文を国際誌に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年目では1年目の遅れを取り戻し、規模の大きい研究が実施できることとなった。比較的異動の少ない企業のため、追跡は困難でなく、今後コホートとして十分維持できる見込みがある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.電子系企業は2年目、化学系企業はベースライン調査(平成28年4-6月)となるが、調査対象事業場の産業医,産業保健スタッフならびに人事担当者は調査の継続を望んでおり、最低3年間は維持可能である。予備的な解析結果から、新たに必要な質問や削除可能な質問の調整を行い(平成28年3月)、全体として昨年度よりも調査票自体を少なめにした。 2.企業や個人へのフィードバックは昨年11月に終了したが、より良いフィードバックに向けて検討予定である。 3.追跡調査の実施(平成28年5-6月):健診機関が実施する健診に合わせて調査票と同意書を配付し,記入を依頼する。同時に血液検査の測定に関する同意書も配布し、同意の得られた者のみ血液検査を実施する。 4.データ入力と解析・成果報告(平成28年8月以降):電子系企業のデータは1年目と2年目のデータをリンクさせ、縦断研究として基本統計解析を行う。化学系企業は規模が大きいので横断研究の結果を学会等で発表する(平成28年8月以降。同時に、企業や個人へのフィードバックを行い、縦断研究の結果について,国内外の学会で成果発表するとともに,国際英文誌に論文を投稿する。
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Causes of Carryover |
本年度は対象企業の従業員数が思ったほど多くなかったこと、また来年度は対象企業が2社になったことにより規模が大幅に増加することから血液検査に使用する費用の繰り越しの必要性があった。また、対象人数が相手企業の都合もあるため、検査費用や消耗品の繰り越しが必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は対象企業が2社になり、検査費用と消耗品で使用する額も大幅に増加し、使い切ることがほぼ確定した。
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