2014 Fiscal Year Annual Research Report
人口センサスからみた東アジア8カ国・地域の社会大変動の比較と今後の展望
Project/Area Number |
26283002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末廣 昭 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60196681)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 ゆかり 東京外国語大学, その他部局等, 教授 (50313268)
鳥居 高 明治大学, 商学部, 教授 (70298040)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 地域間比較研究 / 東アジア / 東南アジア / 人口センサス |
Outline of Annual Research Achievements |
定例研究会は計6回、東京で開催した。研究会の報告は、本研究課題のメンバー構成と研究課題、現地調査の予定について決めた後、現地調査(とくに人口センサスを実施している統計局での聞き取り調査)の成果をもとに、タイ、フィリピン、ベトナム、インドネシア、香港、韓国について報告とその検討を行った。また、中国とマレーシアについては、それぞれ人口センサスの枠組みに関する報告を行った。両国の現地調査(2015年3月に実施)の成果については、2015年度の定例研究会で実施する予定である。 各国・地域での収集もしくは聞き取り調査の結果をもとに、①人口センサスの質問票の内容と構成、②人口センサスの実施体制、③人口動態に関する基本的特徴(人口成長率、従属人口比率、人口ボーナス期間など)、④家族制度の特徴、⑤都市化の進展とメガ・リージョンの出現(その範囲、経済集中度、一人当たり地域所得の全国比など)、⑥人の国内移動と国際移動の6つについて、調査対象地域(プラス日本)に関する横並びの国際比較表を作成した。また、タイ、フィリピン(以上、末尾が0の年)、ベトナム(末尾が9の年)については、1990年(89年)、2000年(99年)、2010年(2009年)の3基準年に関する時系列比較の表も作成した。これらの国・地域間の比較表と同一国の時系列比較表については、2015年度に東京大学社会科学研究所のホームページにアップデイトする予定である。 現地調査の成果、並びに東アジア域内での国際比較の成果をもとに、日本貿易振興機構アジア経済研究所の『アジ研ワールド・トレンド』(2015年8月号、約42頁)に、「特集 人口センサスからみた東アジアの社会大変動」(11名による12本の論文)を寄稿する予定であり、現在、編集作業を進めているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度内に、予定していたほぼすべての国・地域での現地調査を実現させ、人口センサスを担当する統計局などで聞き取り調査を行うと同時に、タイ、フィリピン、ベトナム、香港などでは、ハードコピーによる資料も収集した。同時に、現地調査の結果については、東京での定例研究会で、香港、韓国、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナムの6カ国・地域の報告と検討を、それぞれ実施した。もっとも、香港、韓国などはネット上での資料の公開が進んでおり、ハードコピーによる出版物の刊行にはそれほど積極的ではない。 本研究課題の大きな特徴である「オーダーメイド集計」については、過去の人口センサスの統計データの収集が困難なベトナムで実施し、こちらが設定した項目について、1989年、1999年、2009年の3時点での人口センサスの結果についての独自の集計表を入手した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までのところ、現地調査が進んでいるのはタイ、フィリピン、ベトナム、香港であり、国・地域間の横比較がいまだ十分でないのは、インドネシア、マレーシア、中国の3カ国である。この国・地域間の情報や統計データの精粗を是正し、より密度の高い横比較表を完成させる。 次に、ベトナムで実施したような「オーダーメイド集計」を、他の国・地域でも随時、実施していく。ただし、人種・宗教といった「センシティブ項目」が絡む統計のクロス集計については、インドネシア、マレーシアの統計局が難色を示しているので、その点は柔軟に対応する。 多くの国では、現在までのところ、「2010年人口センサス」の一次データとその集計結果の公表段階に留まっている。今後、出版される予定の「分析レポート」の類(人口動態、労働市場と人口移動、家族制度や婚姻形態の変容、住居・環境など)を収集し、検討を加える。 すでに香港、ベトナム、フィリピンの統計局からは、東京でのワークショップ開催に強い関心が示されているので、最終年度である2016年度に国内外の専門家を加えた国際ワークショップを企画する。なお、2015年度の第1回定例研究会は、総務省統計局の専門家を講師に迎えて、日本における国勢調査について報告を受けることになっている。
|
Causes of Carryover |
韓国を担当している連携研究者の場合には体調不良により、インドネシアを担当している連携研究者の場合には所属大学の業務の関係で、それぞれ予定していた実地調査が実現しなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に実施予定であった韓国とインドネシアにおける現地調査のための旅費・滞在費、並びに資料収集費に使用する計画である。
|
Research Products
(36 results)