2015 Fiscal Year Annual Research Report
新出資料による琉球処分期琉球知識人の総合的研究ーそのアイデンティティに着目して
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26283009
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高津 孝 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (70206770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 捷 国文学研究資料館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (40318580)
都築 晶子 龍谷大学, その他部局等, 研究員 (00115601)
水上 雅晴 中央大学, 文学部, 教授 (60261260)
紺野 達也 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (00506157)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 琉球 / 漢籍 / 科挙 / 蔵書 / 蔡大鼎 / 前近代 / 遊里 / 漢詩文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新しく東京都及び山形県で発見された琉球王国末期から琉球処分期における琉球知識人文書を整理研究することで、中国、日本という文化圏の狭間にあった琉球王国崩壊期の琉球知識人の複雑で多様な文化的背景、思想、アイデンティティの問題を明らかにし、それを、東アジア世界における前近代と近代の狭間に生じた古典的知識人達のアイデンティティの問題の中に位置づけるものである。平成27 年度においては、新発見の琉球資料について、山形県立米沢女子短期大学附属図書館、米沢市立図書館を調査し、所蔵資料のデータ収集、分析を行った。また、新出琉球資料60数点を中国で出版する準備が進行中である。高津は、その研究成果の一部を2015年 12月、中国・上海の復旦大学古籍整理研究所主催の「古文献・新視野 系列講座」にて「琉球士族的蔵書与學問」(高津孝)と題して発表を行った。また、研究分担者水上雅晴は、2015年11月に厦門大学国際学術交流センターで開催された「「科挙制と科挙学」第12回国際学術シンポジウム」において「再論琉球的“科”―以現存琉球漢籍為線索」という発表を行った。また、琉球漢詩文研究会を沖縄で2回開催し、研究題目に関する発表を重ね、知見を深めた。本年度における研究題目に関連する研究成果としては、高津孝「蔡大鼎の漢詩文と琉球の遊里」(鹿大史学63号、2016年2月)、紺野達也「琉球漢文学者蔡大鼎の晩年に関するいくつかの新知見 ―『北上雑記』・『北京話』を中心に―」(中国詩文論叢36輯 、2015年12月)、陳捷「韓国国立中央図書館所蔵琉球『選日通書』について」(大高洋司・陳捷 編「アジア遊学」特集『日韓の書誌学と古典籍』、勉誠出版、2015年5月)が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
山形県及び中国上海市、福建省における新出琉球資料の調査が進展したこと、それを受けて、新出琉球資料を叢書として中国で出版する準備が進んでいること、琉球王国末期の知識人についての共同研究が進み、研究代表者及び研究分担者による口頭発表、研究論文発表が盛んに行われていることによる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては、研究代表者高津は、東方学会主催の国際東洋学者会議において、琉球パネル「新出の琉球漢文資料と琉球史の読み直し」(2016年5月)を企画し、中国から2名の著名な琉球関係研究者を招聘する。本パネルは、本科研の研究成果の発表を企図し組織したものである。また、年2回の琉球漢詩文研究会を開催し、研究成果の深化を図り、年度末には研究会の総括として、研究成果をまとめた報告書を刊行する予定である。
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