2014 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀における知識とマナー、秩序:公共知の東西比較
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26284016
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 博巳 金城学院大学, 文学部, 教授 (70109833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 隆穂 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00126830)
玉田 敦子 中部大学, 人文学部, 准教授 (00434580)
渡辺 浩 法政大学, 法学部, 教授 (10009821)
鷲見 洋一 慶應義塾大学, 文学部, 名誉教授 (20051675)
伊東 貴之 国際日本文化研究センター, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (20251499)
川島 慶子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20262941)
長尾 伸一 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30207980)
堀田 誠三 福山市立大学, 都市教養学部, 教授 (40144109)
逸見 竜生 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60251782)
寺田 元一 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (90188681)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会思想史 / 公共圏 / 啓蒙 / 文芸共和国 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主要な行事は6月21・22日の両日、福山市立大学で開催された日本18世紀学会大会において、共通論題「18世紀の海の道」を組織し、韓国から二名の発表者を迎え、東西の海の道を通じての交流の実態を明らかにした。詳細は近刊の『日本18世紀学会年報』を参照。 個別には高橋が7 月18日、韓国中央博物館で、木村蒹葭堂筆の「蒹葭雅集図」を調査し、その成果を国際日本文化研究センターの共同研究で報告し、報告集に執筆した。9月3日から10日まで、米国ボストン美術館で洛中洛外図に描かれた通信使一行の屏風調査、ならびにメトロポリタン美術館で18世紀絵画資料の調査を行った。渡辺は、日本の思想の側から西洋を眺めて比較するという試みを継続し、特に18世紀から19世紀における西洋の政治に関する基本概念の受容・翻訳・誤解に関心を拡げ、作業を進めている。伊東の場合も、論文“Li Gong’s Standpoint:Towards a Reconsideration of the Yan-Li School”において、中国・清代(17~18世紀)の儒教思想家・李土恭の政策論や経書に対する態度などを検証し、当時の士大夫の秩序意識や公共性への感覚、文献批判の進展などの実態を明らかにした。さらにEAJS での報告“The Reassessment of the Qing Scholarship and the Bakumatu Empiricism”、並びに、それにもとづく論文「清朝考証学の再考のために―中国・清代における『尚書』をめぐる文献批判とその位相、あるいは、伝統と近代、日本との比較の視点から」においても、李土恭を含む、当時の清朝考証学とその周辺の思想家たちの経書研究の諸相を吟味するとともに、日本との異同についても仮説を提示し、清朝考証学の全貌解明に貢献している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究会としては、6月の日本18世紀学会大会の共通論題に加え、学会メンバーから分担者以外にも研究課題の近接領域から報告者を招いて、名古屋大学で研究会を開き、次年度の国際18世紀学会のラウンドテーブル「効用性と社交性」のテーマに合わせた検討を行った。今回も司会を担当する長尾氏は『複数世界の思想史』(名古屋大学出版会)を新たに刊行し、17・18世紀の知的水脈をたどって近代を問い直す視点を打ち出して、研究を牽引している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでも韓国18世紀学会との協働はかなり成果をあげていると思われるが、今年度は国際18世紀学会のラウンドテーブルに複数の参加者を得てさらに研究を深化発展させると同時に、東アジア全域を視野に入れれば中国学会の研究者との連携が急務と考えられる。ことに清朝史研究の進展にともない、我々の研究会にもそうした新しい研究動向を反映させるべく、今後は中国学会からの刺激も積極的に受け容れたい。
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Causes of Carryover |
研究分担者の堀田誠三氏が年度の後半、療養のために休職し、研究が中断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者の堀田誠三氏が今年4月より復職し、研究を再開したが、今年度は7月の国際18世紀学会に研究代表者ならびに分担者5名のほか、若手研究者3名の派遣費用のために未使用分の一部を旅費に充当する。
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Research Products
(33 results)