2016 Fiscal Year Research-status Report
室町~江戸初期における書物移動と大名文庫の蔵書形成に関する総合的研究
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26284041
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
前田 雅之 明星大学, 人文学部, 教授 (00209389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 真紀子 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (30515408)
松本 麻子 いわき明星大学, 教養学部, 准教授 (70708990)
渡瀬 淳子 北九州市立大学, 文学部, 准教授 (90708637)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 古典 / 古典籍 / 大名文庫 / 書物の移動 / 松平文庫 / 印記 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度の成果は以下の通りである。 1,西暦一三三三年~約一七〇〇年までの書物の移動データベース構築作業を研究代表者・研究分担者・研究協力者が分担して作成している。これと共に、夏・冬・春の五日間程度で、採られたデータのチェック作業を行っている。その結果、室町期の代表的な日記である『看聞日記』のチェック作業を終了した。現在、近世初期の『時慶記』、『梵旧記』、室町期の禅僧日記(『鹿苑日録』など)に移っているが、当初予定であった一七〇〇年までというのはいささか厳しいかと思われるが、可能な限りのデータを採集およびチェックして、中世後期~近世における書物の移動データの全容を明らかにしたいと考えている。 2,8月17日~19日まで、大名文庫の蔵書形成の例として、島原市の肥前島原松平文庫を訪れ、文庫創設者である松平忠房が集めた、書写させた書物を二泊三日の日程で四人で一点ごと調査した。毎回、60点くらいの書物を調査できるが、だいたいの蒐集傾向は分かってきたと思われる。 3,科研研究会を二度実施した(5月14日・11月20日)。研究会の内容は、①データベース構築作業の進捗状況、②科研テーマに絡む研究発表(松本麻子氏「『近代百人一首』考―近世初期大名の和歌文芸について―」、『実隆公記』をめぐるミニ研究会、岡﨑真紀子氏「「浦島」をめぐる和歌と物語―「源氏物語研究における文化研究の可能性」に向けて」など)、③科研をめぐる提案・意見。現科研をさらに発展するためには、書物を蒐集し文庫を形成した大名を残らず押さえる必要があるなど、貴重な意見があった。今後も着実に進んで次につなぎたいと思っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大名文庫の調査は二泊三日で60点程度しかできていないこと、また、書物移動データベースが近世寛永以降は事実上諦めざるを得ないことなど。とはいえ、可能な限り、調査をし、データ収集・チェックを行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 今後の研究も上記の三本柱は変わらない。 1)データベース構築 2)文献調査(肥前島原松平文庫が中心) 3)科研研究会の実施 である。
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Causes of Carryover |
昨年同様、データベース構築のための研究協力者が本人の都合によって、来られなくなったこと、また、協力者のうち大学等に就職した結果、研究会・調査に自己の研究費で来るようになり、そのために予算が余ったものと思われる。だが、当初、かかる事態は予測していなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年は最終年度であり、調査・データベース構築・報告書などで、可能な限りの予算を使い、有終の美を遂げたく思っている。但し、使用については、倫理規定に従い、厳密に執行する所存である。
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Research Products
(5 results)