2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本現代文学・文化の世界展開の比較文学的研究―<ポップ>なテクストを中心に
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26284051
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平石 典子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20293764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ヨコタ村上 孝之 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (00200270)
山中 由里子 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 准教授 (20251390)
加藤 百合 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (50326815)
大城 房美 筑紫女学園大学, 文学部, 教授 (80289595)
姚 紅 白百合女子大学, 言語・文学研究センター, 研究員 (90727140)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 比較文学 / 日本現代文学・文化 / ポップ・カルチャー / 海外展開 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度は、26年度に引き続き、欧州(ドイツ、フランス、ポルトガル)とロシア語圏(ロシア、中央アジア)、中東圏(イラン)、中国語圏におけるポップなテクストの展開についての調査を行うとともに、東南アジア(インドネシア)の事例についても資料の収集と調査を行った。それぞれの調査をもとにした研究成果については、研究成果欄に記載されている通りであるが、翻訳・翻案、マンガ、アニメーションなどについての学会発表や論文が産出されている。 また、H27年度には、国際研究者交流にも重点を置き、アフリカ(チュニジア、ガーナ)、欧州(ドイツ、ポルトガル、ロシア、スペイン、フランス)、北米(アメリカ合衆国)で開催された国際学会での成果発信と、共同研究などの研究者交流の中での議論の深化を図った。本課題が企画したものとしては、Pacific Ancient and Modern Language Association(PAMLA)のポートランド大会(2015年11月)における、分担者のヨコタ村上氏をオーガナイザーとしたパネル発表"Saga Making in Contemporary (Jap)animations"と、タシケント国立東洋学大学で開催した国際シンポジウム「翻訳・翻案と日本文化-テクストの世界展開をめぐって-」(2016年3月)が挙げられる。前者は、日本のアニメーションについて日米の研究者が意見交換を行ったパネルであり、後者は、旧ソ連圏で、現在もウズベク語とロシア語の2言語で教育が行われているウズベキスタンの研究者とともに、翻訳・翻案について考えた試みであり、研究協力者の関口涼子氏を基調講演に迎えて、活発な議論が行われた。 なお、こうした研究交流から、2016年2月には、パリ第3新ソルボンヌ大学で開催された国際シンポジウム"Sequential Art and Catastrophes: Comics, Mangas, Graphic Novels"に代表者が招待され、招待講演を行うとともに、マンガやグラフィック・ノベルについての情報交換や議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、各地での資料収集と調査を進めるとともに、国際研究者交流にも重点を置いたが、研究交流の幅も広がり、成果発表も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目となる平成28年度は、これまでの調査により集まったデータを整理し、各研究課題の成果発表を国内外で積極的に行っていく。本研究課題のメンバーが中心となり、他のメンバー及び外部の研究者との共同研究の成果を発表するものとしては、平成28年度は、AAS-in-Asia2016(2016年6月、於同志社大学)におけるパネルや、国際比較文学会第21回大会(2016年7月、於ウィーン大学)の翻訳パネルやComic Studiesパネルなどが挙げられる。さらに、そのフィードバックを活かす形で、最終年度に向けて、これまでの研究成果を大きくまとめるための研究集会を行う。 研究課題項目(1)テクストの世界展開と翻訳・翻案について これまでに明らかになったことをもとに、〈ポップ〉なものと分類される現代の日本のテクストの世界展開の諸相をまとめていく。翻訳・翻案の個別事例研究や、これまでのワークショップや研究会における議論をふまえて、日本と海外の文化の相互作用を明らかにする。 研究課題項目(2)ポップ・カルチャーの海外文学への影響について これまでの調査・分析で、〈ポップ〉なテクストの海外作品への影響は、単に「日本文化」が「海外」の「他者」へ伝播している、というものではないことが明らかになってきている。日本のポップなテクストが、海外における新しい文学・文化現象の生成と関わるものであることを明らかにするとともに、建設的な文化の融和の論理への展開も目論んでいる。
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Causes of Carryover |
分担者の中で、病気により今年度の配分額の執行ができなくなるという状況が発生し、その分を次年度に繰り越す形にしたためと、2016年3月に開催したウズベキスタンでのシンポジウムの出張旅費が、予想よりも安くおさまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分担者の病気による繰越分については、2016年度にマンガ関連の調査及び成果執筆のために使用する予定である。 出張旅費の繰越分については、2016年度における欧州等への出張において使用する予定である。
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