2014 Fiscal Year Annual Research Report
アカデミック日本語能力到達基準の策定とその妥当性の検証
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26284070
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
藤森 弘子 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 教授 (50282778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 彰 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 准教授 (10272618)
藤村 知子 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 教授 (20229040)
伊集院 郁子 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 准教授 (20436661)
芝野 耕司 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (50216024)
伊東 祐郎 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 教授 (50242227)
工藤 嘉名子 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 准教授 (80376813)
鈴木 美加 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 准教授 (90226556)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アカデミック日本語能力 / 言語能力評価 / 行動能力評価 / can-do記述文 / アーティキュレーション / 言語教育法 / JFスタンダード / CEFR |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は本研究の目的と年度計画にもとづき、各研究班では、以下の活動実績をあげている。 まず、学習者調査班では、can-doリスト暫定版を用いて、本学日本語プログラム受講学生に対して、学期開始期と学期終了期に日本語を使って何がどのぐらいできるか、自己評価調査を実施した。藤村はウエブ上での調査のシステム管理及び実施を担当した。鈴木と藤森は学生の自己評価結果から日本語レベルと技能との関連性について分析を行い、リュブリアナ国際大会にて研究発表を行った。伊集院は、シドニー国際大会で、アカデミックライティング能力の獲得を目指したcan-doリストの策定のあり方について発表した。鈴木は、拠点シンポジウムにおいて、本can-doリストの開発と実践について読解を中心に具体的な事例を参照しながら、can-do記述のあり方について研究発表を行った。 教授者調査班では、can-do記述文の妥当性を検証するため、行動目標及び下位項目について、技能別に「並べかえ調査」を実施した。国内外の大学日本語教員に対して行った。現在も継続してデータを集めている。 インタビュー調査班では、藤森と伊東が香港大学の萬氏に交換留学での教育の接続についてのヒアリングを実施した。続いて、ドイツの交流提携大学に、伊集院と工藤が出向き、ドイツにおける日本語教育事情調査及び交換留学に期待される内容等についてヒアリング調査を実施した。芝野は大規模コーパスの研究をすすめており、アカデミックジャパニーズ研究にコーパスの視点から示唆を得ることができる。伊東は、評価とコースデザイン等について講演を行い、評価の重要性について発信した。藤森はcan-do行動目標の具現化としてタスク型教材の開発の理念と実践について発表した。 そのほか、学生の産出物については、毎学期同意書を得た上で、技能別レベル別に収集している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究活動の初年度として、教授者調査班、学習者調査班、インタビュー調査班それぞれが活発に活動し、データを収集することができた。しかしながら、データは統計的に妥当性が検証できるよう、データ数を増やすため、今後も国内外での調査を引き続き行う。 その他に本科研実績に関わる成果として、国内外での学会発表、シンポジウムでの発表など、現時点での成果の発信をすることができた。交流提携大学へ出向き、本学での日本語学習がどのように継続されているか、単位互換システム等、個別の事例を聞き取り調査により、詳細に調べることができた。 以上の活動実績から判断して、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、妥当性の検証が最大課題であるため、学習者調査班、教授者調査班によるデータ収集をさらに引き続き行い、データ数を増やす。平成27年度は様々な視点からそれらを用いて統計分析を行い、アカデミック日本語能力の評価基準となるcan-do記述文の妥当性の検証を行い、can-doリスト暫定版の完成へ向けて示唆を得ることとする。 日本語教育研究においては、これまでcan-do記述文の小規模な研究はあったが、学習者の自己評価、日本語教員による並べ替え調査といった、大規模かつ包括的な研究はこれまでなかったといえる。今後も高等教育機関で学ぶ日本語学習者のためのアカデミック日本語能力の共通評価指標構築を目指して、研究を進めていく。また、can-doリストが理論上のものだけにならないよう、学習者の産出物や教材等を参照しながら、能力記述と参照のためのリストを完成させるよう、様々なアウトカムを収集し、研究の妥当性をさらに高めていく。
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Causes of Carryover |
物品費の購入が当初予定よりも少なくて済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ収集時に必要な経費に回す。
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Research Products
(22 results)