2015 Fiscal Year Annual Research Report
Eラーニングに基づく英語とフランス語の学習行動の可視化の試み
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26284076
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
吉冨 朝子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (40272611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 弘子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (10205669)
浦田 和幸 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50168762)
川口 裕司 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20204703)
梅野 毅 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 助手 (10722340)
鈴木 陽子 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (10735848)
井之川 睦美 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 特定教員 (90735838)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Eラーニング / 英語 / フランス語 / スピーキング学習・評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
吉冨・井之川・鈴木は、(1)ELCスピーキングテストの評価基準の精査を引き続き行い、それに伴ってテストタスクの内容を再考した。評価基準の精査では過去の評価基準による結果との比較を行った。結果をもとに更なる評価基準内容の検討を続けている。(2)スピーキングに焦点をおいた学習方略調査をTOEIC-IPスピーキング・ライティングテスト時に実施した。スピーキング能力と学習方略との関連性を探るためデータの解析中である。(3)CEFR-Jの自己評価表を活用した自己評価調査をTOEIC-IPテストの事後アンケートに実施し、TOEIC-IPテストスコアに示される英語力と自己評価内容との関連を探るため、データ収集を継続中である。 川口は院生協力者の協力を得て、学部2年生に対して、フランス語のCEFR-Jによる自己評価、A1-A2レベルのProductionタスクとネイティヴによる評価、Productionに関する学習ストラテジー調査を実施し、3つのパラメータ間の相関関係を分析し、学会発表して研究ノートとして公刊した。また梅野と協働し、Moodleにより取得可能な学習行動データとその分析方法について検討した。梅野は、TUFS言語モジュール学習者用のHTML5化を行い(http://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/index_d_lp.html)、Moodleの機能を拡張するためのプラグイン開発方法の調査を行った。 斎藤は、これまでに独自に収集した音声データ分析を開始し、主にイントネーションに関連する項目について、学習者がどのように修得していくのかを分析した。浦田は、英語の話し言葉でよく用いられる表現に関して、書き言葉との対比で、語彙と文法の面から調査し、タスク開発のための基礎研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、当初計画どおり、自己評価・学習方略の本調査を開始し、学習者データ解析および指標化を進めた。 言語能力到達度の自己評価については、アンケート本調査を実施した。言語能力に関する評価タスクについては、学習者の英語スピーキング音声データを、英語学習支援センター(ELC)の専門アドバイザーが、CEFR準拠の評価基準に沿って客観的に評価し、分析に関してはELCで提供されている対面スピーキングセッション及びスピーキングテストデータも参考にしながら指標化に着手した。また、学習方略の本調査(英語およびフランス語)を実施し、分析を進めた。さらに学習者の学習プログラムアクセス時間、各質問の回答時間、成績等のアクセス解析と指標化を、年間を通して実施した。ただし、e-Learning学習に関する課題特定の学習方略と自己能力評価の関連を、オンライン上のプログラムで、学習者による内省活動を通して調査する計画についてはまだ準備段階にすぎない。このため、おおむね順調に進展してはいあるが、当初計画以上の進捗状況とは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
吉冨・井之川・鈴木は、ELCスピーキング・テストのタスク内容と評価規準の検討を最終的にまとめる作業に入る。またCEFR-Jの自己評価表を活用した自己評価調査結果の分析をすすめる。分析過程で可能な限り学習方略調査に示された結果との関連も探り、英語学習方略と英語力との関連や傾向を探る。 川口は、フランス語学習者を対象とした一般的なスピーキング学習方略の調査を実施し、調査結果をCEFR-Jの自己評価および言語産出能力の評価結果と関連付けながら分析する。梅野は、TUFS言語モジュール学習者用のHTML5化、および学習履歴機能の実装を行い、Moodle小テスト作成用画面の作成に取り組む。 斎藤は、分析した音声データのうち、特にイントネーションにまつわるいくつかの項目について学習者が修得していく過程を見る。また、それらの項目の修得の度合とスピーキング・テストの評価などとの相関の有無を探る。浦田は、前年度に引き続き、慣用句など、英語の話し言葉でよく用いられる表現に関して語彙と文法の面から調査し、タスク開発の基礎研究を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度は計画どおり、自己評価・学習方略の本調査を英語およびフランス語学習者を対象に実施したが、データ収集および分析作業に要する時間が当初予定よりも多くかかり、学習者のスピーキングデータ解析および指標化については十分に進めることができなかった。このため、この作業に関わる物品費およびその成果を発表するための旅費を中心に次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学習者データ収集や分析に予想以上の時間と労力を要するため、人件費・謝金の割合を増やして、分析および指標化作業を進める。またスピーキング評価に関わるEラーニングシステムの構築に向けて、必要な物品費を当てる。研究成果の発表の場を増やすよう努力する。
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