2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26284088
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
大野 誠 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (60233227)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 伸子 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (00192675)
伊東 剛史 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 講師 (10611080)
松波 京子 名古屋大学, 名古屋大学付属図書館研究開発室, 研究員 (10717119)
長尾 伸一 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30207980)
高林 陽展 清泉女子大学, 文学部, 講師 (30531298)
川村 範子 愛知県立大学, 外国語学部, 研究員 (40644266)
椿 建也 中京大学, 経済学部, 教授 (50278248)
菊池 好行 総合研究大学院大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (70456341)
坂下 史 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (90326132)
石橋 悠人 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90724196)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 科学の制度化 / 近代イギリス / Royal Society / Henry Oldenburg / グリニッジ天文台 / ロンドン動物園 / 国際研究者交流(ブルガリア) |
Outline of Annual Research Achievements |
本共同研究の2014年度の目標は「科学の制度化」について理解を深めることにあり、このテーマに沿って各自が分担研究を進めて、全員で理解と問題意識を共有できるように国内外の研究者を招聘して話題を提供してもらい、議論を行うことであった。分担者では、2014年9月27日に石橋悠人が「19世紀のグリニッジ天文台と科学の制度化」、および伊東剛史が「19世紀ロンドン動物園にみる科学の制度化と大衆化」と題する発表を行い、国内の研究者招聘としてはイギリス史研究者の水田大紀(阪大)が2015年1月10日に「19世紀イギリスの行政革命について:官僚制度改革の展開」を講演した。海外研究者の招聘としては、2015年3月8日~17日にブルガリア科学アカデミーからIordan Avramov博士を招聘し、9日~14日は「設立期Royal Societyの日本情報」に関する史料調査を東京大学史料編纂所で行ってもらうとともに、14日(東京)、15日(名古屋)で近代イギリス科学の制度化にとって極めて大きな役割を果たしたRoyal Societyの初代事務局長Henry Oldenburgについて講演してもらい、長時間にわたって討論した。 これらの研究発表およびその後の討論からは、たとえばジェントルマンの文化的ヘゲモニーのもと、職業化の進行を制度化と結びつけることは安直な理解に留まるとか、19世紀の官僚制度改革=行政革命は科学の制度化と直結していないといったように、「科学の制度化」という概念をめぐる議論に一石を投じるものがあった。Avramov博士のOldenburgを中心としたRoyal Society研究、とりわけ今回史料調査を実施していただいた「Royal Societyの日本情報」については、いずれ日本の学術雑誌でその成果が公表されるであろう。分担研究者の海外調査は個々の都合により実施されなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画したように「科学の制度化」を2014年度の共通テーマにすえて、研究が進展している分担者の成果を取り上げて、討論ができたこと。同様に、計画どうりに、国内外の研究者を招聘して話題提供をしてもらったこと。これらのおかげで、「科学の制度化」そのもの、およびイギリス特有の状況について理解が深まった。 本共同研究が進展している状況は、研究成果の一端が2015年7月の化学史学会年会シンポジウム「近代イギリスにおける科学の制度化」で発表されることに表れている。そこでは筆者がシンポジウムの趣旨説明を行うとともに、坂下史、石橋悠人、奥田伸子、高林陽展がそれぞれの分担テーマについて研究成果を報告することになっている。 さらに、坂下史は分担テーマについてすでに2つの研究会で報告し、奥田伸子は150名を越える一般聴衆に対して分担テーマについて講演し、研究成果の社会還元をすでに始めている。 このほか、分担研究者の石橋悠人、伊東剛史、菊池好行は国内外で開催された学会・国際シンポジウムで英語による口頭発表を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
本共同研究における2015年度の共通テーマは「科学と公共圏」である。このテーマのうち公共圏については、研究分担者5名が前回の科研費共同研究の成果である大野誠編著『近代イギリスと公共圏』(昭和堂、2009年)の執筆者であるため、この概念の基本を理解している。しかし新メンバーが6名いるため、旧メンバーの成果を継承し圏概念の理解を深める目的で国内の公共圏研究者を2名招聘して、成果の発表と討論を行う。申請段階で予定していた国外研究者の招聘については、時間上の制約のため本年度は見送りとするが、人選作業を加速させ、本年度中に招聘交渉を始める。研究分担者の石橋悠人、伊東剛史、菊池好行、坂下史は分担テーマについて短期間、海外で史料調査を行い、松波京子は国際18世紀学会で発表を行うためベルギーへ赴くと共に、大阪大学で開催される日英歴史家会議で分担テーマに関する発表を行う。昨年度の研究成果の一端を学会で発表する。具体的には2015年7月4日に開催される化学史学会年会(総研大、葉山)シンポジウム「近代イギリスにおける科学の制度化:イギリス史研究の視点から」で大野誠が趣旨説明を行い、坂下史、石橋悠人、奥田伸子、高林陽展がそれぞれの分担テーマとそこから見た科学の制度化について報告する。研究分担者の川村範子は「科学工芸局の設立」について、長尾伸一は彼の最新著『複数世界の思想史』(名古屋大学出版会、2015年)からみた「科学と公共圏」について、椿建也は「都市計画と専門家集団について研究を進める。
|
Causes of Carryover |
申請時には、数名の研究分担者が海外で史料調査を行う計画であったが、それぞれの事情で2014年度の実施を2015年度に変更したため。これに伴い、物品費の支出も控えた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度には5名の研究分担者が海外で史料調査や国際学会での発表を行う。また、これに伴って物品、特に書籍の購入が増えるであろう。
|
Research Products
(10 results)