2016 Fiscal Year Annual Research Report
Institutionalization of Science and Public Sphere in the Modern Britain
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26284088
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
大野 誠 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (60233227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 伸子 名古屋市立大学, 人間文化研究科, 教授 (00192675)
伊東 剛史 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (10611080)
松波 京子 名古屋大学, 附属図書館研究開発室, 研究員 (10717119)
長尾 伸一 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (30207980)
高林 陽展 清泉女子大学, 文学部, 専任講師 (30531298)
川村 範子 愛知県立大学, 外国語学部, 研究員 (40644266)
椿 建也 中京大学, 経済学部, 教授 (50278248)
菊池 好行 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 特別研究員 (70456341)
坂下 史 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (90326132)
石橋 悠人 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90724196)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 西洋史 / 科学・技術史 / 科学の制度化 / 専門分科 / 科学の公共圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本共同研究における平成28年度の研究活動のうち特筆すべきなのは次の3つである。 第一に、本研究グループが中心となって開催した平成27年化学史学会年会シンポジウム「近代イギリス科学の制度化:イギリス研究者の視点から」について、4発表すべてがこの学会の『化学史研究』No.156(2016)にまとめて掲載されたことである。大野誠の序文に続き、坂下史、石橋悠人、高林陽展、奥田伸子の論文がある。 第二に、前年と同様に化学史学会年会で本グループがシンポジウム「近代イギリスにおける科学の制度化:専門分科と公共圏」を開催して、研究成果を専門研究者に公表し、学問的な検討を仰いだことである。前年と異なり、本シンポジウムでは専門分科と公共圏に力点をおいた。大野誠の趣旨説明に続き、伊東剛史が「19世紀のロンドン動物学協会からみた動物学の専門分科」、川村範子が「19世紀イギリスにおける科学・工芸局の設立」、松波京子が「19世紀イギリスにおける公益性概念:1868年イギリス電信国有化法の議会議論から」、菊池好行が「イギリス化学の制度化の重層性と国際的文脈」を発表した。 第三はイギリスからUCL教授Jon Agar,OxfordのBerris Charnley博士を招聘して、2017年3月25~26日にInternational Workshop on Institutionalization of Science and the Public Sphere in the Modern Britainを愛知県立大学サテライト・キャンパスで開催したことである。第一日目は大野誠の問題提起に続いて、伊東剛史、石橋悠人、Berris Charnleyが、第二日目は、菊池好行、高林陽展、Jon Agarがそれぞれの研究領域における科学の公共圏もしくは専門分科について発表した。なお、発表・質疑応答などはすべて英語。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.研究成果を学会で発表し、学会誌に掲載することについて。当初の計画よりも早く実現している。化学史学会から年会で2年連続してシンポジウムを開催することを許され、かつこの学会の雑誌に論文を掲載する権利も与えられたので、当初、最終年度もしくはその翌年と計画していたことを期間内に実現することができた。なお、これらのシンポジウムでは研究分担者10名のうち8名が発表を行った。 2.本共同研究が力を入れてきた外国の研究者を招聘する活動について。イギリスからの招聘研究者の顔ぶれは計画段階とは変更されたが、招聘事業そのものは計画どおりに実現した。初年度にブルガリアの研究者1名を招聘し、講演・討論を行ってもらった。第3年度にはイギリスから招聘した2名の研究者と共に、本共同研究からも研究分担者4名が発表を行う国際シンポジウムを開催した。このシンポジウムは当初から本研究グループ内部にとどめるつもりであったが、実際には橋本毅彦教授(東大・科学史)や地元の研究者の参加もあり、発表時間30分に対して討論時間を60分取ったお陰で突っ込んだ議論ができた。 3.研究成果の内容について。本研究は共同研究として行なわれているので、分担されたテーマの適否や研究分担者の進捗状況が、まず問題となる。前者について研究分担者の研究対象が当初の計画と大きく異なったところはないし、後者については研究分担者10名のうち8名がすでに学会発表を終えていることに表れているように、全体として研究は順調に進んでいる。研究分担者による研究の順調な進展のお陰で、本研究全体にかかわる認識や理解の枠組みについて、これまでぼんやりとしていた点が明確になったり、認識を改めるべき点が出てきた。公共圏や専門分科についてはまだ見解が分かれる点が存在すると思われるが、科学の制度化を専門職業化と同一視できないなど、本グループ内で共通理解に達した点がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.研究成果を英文の報告書にまとめること。研究分担者の研究はそれぞれ、細部ではまだ検討の余地を残しているし、研究成果の公表をこれから行う分担者もいるが、本年度は最終年度であるので、当初の計画通り、英文の報告書を作成することが、本年度の活動の最重点課題である。 2.本共同研究の意義と成果を確認するために、上記の報告書が完成したら、本グループ内部で報告書の検討会を開催する。共通理解に達した点を確認すると共に、未解明な点を明確にし、今後の検討課題を探る。 3.本共同研究が関心の対象としてきた幾つかのテーマのうち、たとえば専門分科については自然科学の領域にとどまらず、社会科学の学問でも生じていることなので、経済学史の研究者で本共同研究と同じような問題意識をもつ国内の研究者を招聘し、討論する。これは上記2の「今後の検討課題を探る」ことにもつながる。 4.研究分担者のうち、上記1で述べたように、細部に未解明な点を残している研究者は、海外などで史料調査を行う。
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Causes of Carryover |
研究分担者の大半は、この共同研究を実施している期間内に1度、海外(主にイギリス)で史料調査を実施することを計画していた。しかし、研究分担者のそれぞれの事情により、当初計画していた時期には海外での調査を実施できず、基金を繰り越して翌年以降に延期する研究分担者が数名いたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は本共同研究の最終年であることは研究分担者全員がよく承知しており、海外調査の実施を延期していた研究分担者数全員、繰り越した基金で海外での史料調査に出かけることになっている。
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Research Products
(24 results)