2014 Fiscal Year Annual Research Report
琉球帝国と東アジア海域の動態研究-集落・流通・技術-
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26284091
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
村木 二郎 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50321542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 周一 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (30725940)
池田 栄史 琉球大学, 法文学部, 教授 (40150627)
松田 睦彦 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (40554415)
齋藤 努 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50205663)
中島 圭一 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (50251476)
佐伯 弘次 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (70167419)
岡本 弘道 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (70469237)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 琉球 / 中世 / 集落 / 陶磁器 / 技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度であることから、まずは調査対象となる宮古・八重山に複数回赴き(6月、9月、11月、3月)、地元教育委員会の方々に協力を要請するとともに情報収集に努めた。また、これまでの研究史の整理と、近年の研究成果を共有するために、11月22日には石垣市市立図書館会議室にて、研究会を開催した。参加者は19名。報告題は下記の通りである。村木二郎「琉球帝国科研、歴博共同研究の趣旨と目的」/小野正敏「八重山の中世村落について」/島袋綾野(石垣市教育委員会)「八重山の墓地について」。これらを踏まえて、フルストバル遺跡(石垣島)、マシュク村遺跡(波照間島)、ハナスク・クマーラ村遺跡(竹富島)、ユンドゥレースク遺跡(小浜島)などを踏査し、中世集落の特徴を把握することに努めた。なかでも、波照間島のミシュク遺跡は、石垣や井戸の残存状況がよく、集落構造を解明するための良好な遺跡であることが確認できたため、次年度以降、より詳細な調査を実施することとした。 一方、陶器生産技術の調査のため、越前焼工房の記録調査を6月、9月、12月に実施した。近年まで使われていた工房の間取りから、そこに残された道具や窯などを図面化し、当時の状況を記憶している方々からは聞き取り調査をおこなった。地元の教育委員会や資料館との共同作業であり、来年度は概報を、再来年度はより詳細な報告書を刊行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象となる宮古・八重山に複数回赴き、宮古島教育委員会、石垣島教育委員会、竹富島教育委員会の方々の理解を得ることができた。それによって集落遺跡の調査が可能となったうえ、未整理の陶磁器などの調査にも積極的な支援をいただくことになった。 また、詳細な調査を実施する対象として、波照間島のミシュク遺跡を見出すことができた。屋敷区画や、集落のなかの道や井戸もよく残っている良好な遺跡である。測量調査をすることで、八重山地域の中世集落の構造を解明する大きな手掛かりを得ることができよう。 宮古島では、地元教育委員会の全面的な協力のもとで、これまでに調査された遺跡の陶磁器の再整理作業をおこなう段取りができた。集落遺跡出土の陶磁器を詳細に検討することで、14世紀~16世紀における当該地域の集落の変遷が描けるので、今後大きな成果が期待できる。 一方、陶磁器生産技術を解明するために、近年まで使われていた越前焼の工房の総合調査をおこなった。これは、工房全体の間取りや窯を図面化し、そこに残された道具類を図面に落としていく基礎的な記録調査を主体とした。そのうえで、実際にその工房で働いていた方々に聞き取り調査をおこなうことで、工房の具体的な使われ方や歴史的変遷を把握した。多少の追加調査はもう少し必要であるが、ほぼ調査を終えることができ、次年度以降は報告書の作成に入る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
宮古・八重山地域での調査は、波照間島のミシュク遺跡の測量調査を目標とするが、科研費が申請額から大幅に減額されたため、複数年度に分けて実施せざるを得ない。そこで、効率よく調査をおこなうために、事前に周辺の集落遺跡を丹念に踏査し、遺跡の特徴を正確に把握することとする。 また、集落遺跡出土の陶磁器を分析することで、遺跡の歴史的変遷や性格を解明することができる。そのため、これまでに調査された遺跡出土の陶磁器を再整理する。平成27年度は、宮古島市住屋遺跡をまずは対象としたい。ここからは約60箱の貿易陶磁器が出土しており、丹念に分類することで、宮古地域における重要な基礎資料を作りだすことができると予想される。 さらに、奄美地域の状況を把握する必要がある。近年調査が進んでいる喜界島では、14~15世紀の集落の変遷を追える良好な遺跡群が発見されつつある。これらを手がかりに、琉球の北方への展開を追うことができよう。まずは平成27年度は現地に赴き、調査や研究状況の情報収集をおこなうこととする。 一方、陶磁器生産技術の解明のためにおこなっている越前焼工房の記録調査は、補足調査をおこなって報告書の刊行に結び付けたい。具体的には、平成27年度は基本的な情報を盛り込んだ概報を作成し、翌年度に詳細な報告書を刊行することとする。
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