2015 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア諸地域の比較からみた戦時戦後中国の社会秩序と政治文化
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26284109
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
笹川 裕史 上智大学, 文学部, 教授 (10196149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 真 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (20316681)
水羽 信男 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (50229712)
松田 康博 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50511482)
三品 英憲 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (60511300)
金子 肇 広島大学, 文学研究科, 教授 (70194917)
丸田 孝志 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (70299288)
奥村 哲 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (80144187)
金野 純 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (80553982)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 東洋史 / 東アジア / 社会秩序 / 中間団体 / 比較史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(2015年度)の最大の研究成果は、2015年7月18日に「激動期東アジア諸地域の中間団体と国家――中国・日本・台湾」と題する共通テーマを掲げて、国際ワークショップを開催したことである。そこでは、1940~50年代の戦時戦後東アジア諸地域の社会秩序の変容について、同業団体、血縁団体、農業組織などの中間団体に焦点をあてて、比較史的な検討を行った。報告者・コメンテーターには、本科研のメンバーだけではなく、関連する分野で優れた研究蓄積をもつ国内外の歴史研究者に加わっていただいた。これによって、中国史研究者、日本史研究者、台湾史研究者がそれぞれの分野を超えて、活発で有益な討論を行うことができ、新たな比較史の可能性を提示することができた。本ワークショップの討論記録は、すでにテープ起こしを済ませており、次年度において印刷・製本作業を行って小冊子にまとめ、関連する主な研究者に配布する予定である(非売品)。これは、本科研全体の中間的な成果報告として位置づけることができる。 このほか、本年度も昨年度に引き続いて、研究代表者・分担者は、当初に取り決めた役割分担にもとづいて、中国、香港、台湾などを訪問し、史料調査・収集を実施した。それぞれの史料調査の成果については、2015年11月、2016年2月に開催した研究例会の場において、相互に情報交換を行った。これらの海外史料調査の成果は、本科研の最終報告をまとめる際に有効に生かされることになろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したように、本科研の中間的な成果報告である国際ワークショップを開催して有意義な討論ができた。その討論記録の編纂作業も順調に進んでいる。また、研究代表者・分担者による地道な海外史料調査・収集は、おおむね支障なく継続して実施しており、研究例会も2回開催し、史料調査の成果に関する情報交換や今後の研究計画の策定もほぼ終わっている。したがって、全体としておおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本科研の最終年度に当たり、最終的な研究成果のまとめと発信に重点を置く予定である。具体的には、(1)国際ワークショップの討論記録を印刷・製本して小冊子にまとめ、研究成果の発信の一環として、関連する主な研究者に配布する。(2)本科研メンバーを主な執筆者とする論文集の編集・出版を企画している。その実現に向けた準備作業として、2016年7月30ー31日に一泊二日の研究会合宿を行う予定である。ここで、科研メンバーのほぼ全員がそれぞれの役割分担に即した論文構想を報告し、相互の意見交換を通じて論点を明確にし、それにもとづいて年度末における論文集の出版につなげていく。(3)2016年12月3日には、本科研の研究成果を盛り込んだ国際シンポジウム「戦時戦後東アジアの激動と社会像」を開催し、ここでも成果の発信に努める。報告者はすでに確定しており(中国史2名、日本史1名、朝鮮史1名)、当日の報告を準備中である。
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Causes of Carryover |
海外史料調査を予定していた研究協力者のなかに、諸般の事情で調査を取りやめた者が複数いたり、研究代表者の旅費として計上していた出張が、職場の学内業務との日程調整がつかないため、出張期間を短縮したりした不測の出来事があった。また、ワークショップ開催に伴う人件費・謝金として計上していた費用が、科研のメンバーの努力や工夫により、当初の想定よりも安価に抑えることができた。さらに、ワークショップの討論記録のテープ起こしが想定外に時間と手間がかかり、その印刷・製本作業を次年度に回さねばならなかった。次年度使用額が生じたのは、以上のような事情による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越した予算は、次年度に開催する予定である国際シンポジウムをより充実させるための追加費用として使用することや、あるいは、研究課題に関連する諸史料のなかにはマイクロフィルムで保存されているものも多いため、それらを効率的に使用できるように、マイクロフィルムをパソコンの画面に取り込んで閲覧できる便利な機器を購入することも計画している。いずれにせよ、繰り越した予算は、本研究をより充実したものにするために有効に使用することになろう。 このほか、すでにテープ起こしを終えているワークショップの討論記録の印刷・製本作業は、次年度において支出する。
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Research Products
(25 results)