2014 Fiscal Year Annual Research Report
コスモポリタニズムと秩序形成――ブリテン世界における近代的イシュー
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26284113
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝田 俊輔 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (00313180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 はる美 東洋大学, 文学部, 講師 (00540379)
辻本 諭 岐阜大学, 教育学部, 助教 (50706934)
近藤 和彦 立正大学, 文学部, 教授 (90011387)
坂下 史 東京女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90326132)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 西洋史 / ブリテン史 / ヨーロッパ史 / アメリカ史 / コスモポリタニズム / 秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、本科研の研究会合を5月10日、9月23日、1月12日、3月19日の4回開催した。報告・討論の主な内容は二つに大別され、第一はコスモポリタニズムについての概念整理であり、第二は個別具体的な事例の検討であった。 前者のコスモポリタニズムの概念整理においては、第一に、コスモポリタニズムとナショナリズムは相互に排除するのではなく、補完的に作用することもあったことが確認された。第二に、この概念・理念がもった自覚的な「主義」の側面と、無自覚的な文化混交の両側面が確認され、第三に、コスモポリタニズムは、現実の歴史の場では包摂および排除の二つの機能を果たしてきたことも指摘された。包摂の一例として、革命的急進主義に加えて人道主義が、排除の一面として国境を越えた社交・交際におけるマナーと規範の重要性が挙げられた。 後者の個別報告では、近世イングランド/ブリテンの軍隊の人員編成、18-19世期ブリテンの経済協会/農業協会の活動、北米植民地におけるコスモポリタンな知識人の動向が検討された。それらを通じて、近世・近代のブリテン世界の持ったコスモポリタンな性格が浮き彫りにされ、ヨーロッパ世界における典型的なコスモポリタニズムの場とされた古代ヘレニズムや地中海とは別個のコスモポリタンな場が存在していたことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コスモポリタニズムは多様な意味内容を持つ用語であり、研究遂行の際には概念の整理が必要だが、この点ではある程度の成果をあげることができた。また、ヘレニズムや地中海世界とは別個に、ブリテン世界においてもコスモポリタンな連関を問うことの妥当性が確認された。 この一方で、秩序問題の見当はまだ十分とは言えず、次年度以降の課題として残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度と同じように研究会合を積極的に組織し、知識の共有および問題関心の洗練化に努める。また、外国人研究者の招聘に向けた準備を本格化させる。
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Causes of Carryover |
今年度は、外部からの研究者の招聘を行わなかったため、当初の想定よりも旅費の支出額が小さくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は、積極的に研究者の招聘を行う。
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[Book] 筑摩書房2014
Author(s)
近藤和彦
Total Pages
365
Publisher
『民のモラル - ホーガースと18世紀イギリス』
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