2015 Fiscal Year Annual Research Report
法の「熟達者」はいかにして可能か-ソクラテスメソッドの再構成を手がかりに-
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26285005
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
木下 麻奈子 同志社大学, 法学部, 教授 (00281171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 良之 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員(客員研究員) (80091502)
長谷川 晃 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90164813)
池田 清治 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20212772)
長谷川 真里 横浜市立大学, 国際総合科学部, 教授 (10376973)
浅野 有紀 同志社大学, 司法研究科, 教授 (70272937)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 法的思考 / 法心理学 / 法の学習 / 法的熟達 / メタ認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「法的思考」、「法の学習」、「法的熟達」の概念内容と社会的機能について、「メタ認知」をキーコンセプトとしながら、法心理学・認知心理学・発達心理学の方法論を用いて研究する。それによって、従来、抽象的かつ観念的にしか議論されてこなかった法的思考あるいはリーガルマインドと呼ばれている法律学独自の推論方法の構造を実証的に明らかにする。さらに本研究は上記を踏まえて、法律学の教授法としてロースクール等で用いられているソクラテスメソッドを精査し、認知心理学の観点から再評価、再構成する。 本研究の意義は、大きく3つある。第1は、法的思考をメタ認知の側面から分析することにより、法理論の構築に資する点にある。第2は、熟達研究の研究領域で研究がほとんどない法律家のそれについて、実証的に明らかにする点にある。最後に、法律学を学習している学部生、司法研究科性それぞれの習熟段階に応じて、法学教育の適切な方法、スキルを提供するための基礎資料を提供する点にある。その意味で、法学教育および法曹養成の実践的に大きく貢献するものである。 以上を踏まえて本年度は、司法試験の合格者を対象に質問紙調査を行い、法的思考についてモデルを作成した。また法学部の新入生に対しても質問紙を用いて簡便な予備調査を行った。さらにA班が中心となって、面接聞き取り調査を行った。対象は、法律学の習熟度に応じて(1)法学研究科生、(2)法科大学院生、である。その結果について、B班から法哲学の観点から、C班からは民法学の観点からフィードバックを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、研究代表者および研究分担者間の連携がよく概ね順調に研究計画が進展している。質問紙調査およびインタビュー調査も順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
A班は研究計画通り、前年度作成した民法事例を取り入れた調査票を用いて、法律学の習熟度別に、法的推論過程についてインタビュー調査を行う。 B班は、法理論にどう位置づけるかを検討する。 C班は、民法学、民法教育という観点から評価する。
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Causes of Carryover |
調査費用や、設備備品、消耗品の購入費が、当初予定していた金額より廉価であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していたインタビュー調査の他に、仮説を検証する質問紙調査を行い、研究を推進させる予定である。
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Research Products
(16 results)