2015 Fiscal Year Annual Research Report
統治の相互依存ネットワークにおける国家行政の再配置-「現代行政法」の再考と再生
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26285009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野呂 充 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (50263661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 博 広島修道大学, 法学部, 教授 (00136839)
紙野 健二 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (10126849)
荒木 修 関西大学, 法学部, 准教授 (10433509)
人見 剛 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (30189790)
岡田 正則 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (40203997)
石塚 武志 龍谷大学, 法学部, 講師 (40614277)
稲葉 一将 名古屋大学, 法政国際教育協力研究センター, 教授 (50334991)
高橋 明男 大阪大学, 法学研究科, 教授 (60206787)
磯村 篤範 島根大学, 法務研究科, 教授 (70192490)
三成 賢次 大阪大学, 法学研究科, 理事 (90181932)
角松 生史 神戸大学, 法学研究科, 教授 (90242049)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 行政法 / ネットワーク / ガバナンス / 市民社会 / 公私協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度にドイツで開催した国際シンポジウムの成果をシュパイヤー行政大学の協力によりドイツで平成28年中に出版すべく、原稿執筆を進めた。 合宿形式を含む4回の研究会を開催し、平成26年度における理論的研究によってネットワーク概念の法学的意義およびネットワーク理論が対象とする現象の多様性が明らかになったことを前提に、主として、それをさらに掘り下げるための理論的検討を行った。具体的は、キャス・サンスティンの所説を中心とした、アメリカの予防原則にかかる理論動向の検討、ゴミ屋敷条例問題を素材にしたネットワーク組織の可能性の検討、連携中枢都市圏構想の批判的検討、行政主体内部の機関相互間の関係や辺野古基地問題において現れているような国と地方公共団体との間の法関係の分析におけるネットワーク概念の意義の検討、行政法学にとってのネットワーク論の意義にかかる総論的検討等を実施した。これらの検討を通じ、平成26年度に検討を開始した領域について、国際的理論動向を踏まえながら分析を深化させるとともに、我が国で近年重要な検討課題となっている連携都市中核都市圏構想や辺野古基地建設をめぐる中央・地方関係といった問題にも対象を拡大し、ネットワーク論のポテンシャルを検証することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度における理論的検討を前提として、平成27年度においては、国内における実態調査を本格的に実施し、若者や生活困窮者などの支援団体、支援を受けている当事者、これらの地域社会における支援団体と密接なネットワークを構築している地方公共団体、学童保育の実施主体といった弱者支援・福祉の領域における諸主体や、まちづくりにかかわる団体や行政を対象として、行政の関与するネットワークにつき、行政の関与の影響等を分析することを予定していた。しかし、平成26年度の研究により、ネットワーク概念の理論的ポテンシャルの多様性が明らかになったことから、各研究分担者の関心に応じて、様々な行政領域ないし主体に即してネットワーク論の意義を理論的に掘り下げることに重点を置いたため、実態調査については十分な成果を挙げることができなかった。この点は、最終年度である平成28年度に補う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度が研究期間の最終年度に当たることを前提に、以下のように研究を推進する。 第1に、ネットワーク概念の諸相と理論的意義にかかる昨年度までの研究成果を学界に還元し、さらなる研究拡大・深化の基礎を築くべく、特に平成26年度の国際シンポジウムおよびこれを受けた理論的検討の成果を論文や重要な外国語文献の翻訳等の形で公刊する。 第2に、平成27年度の研究計画のうち十分達成できなかった部分を補うべく、弱者支援・福祉の領域やまちづくりの領域を対象とする実態調査に取り組む。 第3に、以上の研究成果の中間的総括のための国際シンポジウムを開催し、ネットワーク概念の法理論的分析が進んでいるドイツを中心に海外の研究者を招へいし、最新の理論動向についての報告を依頼するととともに、本科研の研究成果を示して対話を行うことにより、国際的視野から、これまでの研究の意義と今後の課題を明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成27年度に予定していた実態調査を平成28年度に実施することにし、また、平成28年度の国際シンポジウムのための支出を十分に確保するため、平成27年度の支出を節約をしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内での実態調査を実施するとともに、海外の研究者を招へいして国際シンポジウムを実施する。
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Research Products
(23 results)