2015 Fiscal Year Research-status Report
「生命への医学的介入と人権」に関する法と司法の役割:生殖補助医療を例に
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26285011
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
建石 真公子 法政大学, 法学部, 教授 (20308795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
來田 享子 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (40350946)
成澤 光 法政大学, 現代法研究所, 名誉教授 (50061172)
神里 彩子 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (70554509)
谷口 真由美 大阪国際大学, 現代社会学部, 准教授 (90388653)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生殖補助医療 / 人間の尊厳 / 自己決定権 / 卵子提供 / 代理懐胎 / 精子提供 / 出自を知る権利 / 生命倫理法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2015年度の課題は①生殖補助医療に関する法制化の現状と課題(日本-フランス)②「第三者の関与する生殖補助医療」③「裁判所の判断」である。課題の検討のために外部講師を招聘しての研究会として現代法研究所および日本女性法律家協会の共催で以下の5回の研究会を開催した。第1回2015年5月13日「親の権利対子供の権利」(NHK社会部記者牧本真由美氏)、第2回2015年7月15日「不妊治療における配偶子提供とその問題点」(久慈直昭医師東京医大)、第3回2015年11月9日「我が国における卵子提供体外受精の現状と問題点」(高橋克彦医師)、第4回2016年1月27日「我が国における非配偶者間生殖医療における現状と課題」(清水清美准教授城西国際大学)、第5回「第三者の関与する生殖医療-医学的・倫理的側面-」(久具宏司医師・都立墨東病院)。 研究成果の公表として、2016年3月12日にシンポジウム「日仏における第三者の介入する生殖補助医療と法-誰の権利をどのようにまもるのかー」を開催した。本科研からは代表の建石真公子が基調報告「日本における生殖補助医療と「法案」の現状と課題」、分担者の來田享子(中京大学)が司会を行った。またフランスから2名の研究者を招聘し「フランス生命倫理法にお ける第三者の介入する 生殖補助医療の現状と課題」フランソワ・ヴィアラ (モンペリエ文学)、「フランスにおける代理母禁止法制と親子関係に関する司法判断」ティエリ・ルヌ (エクス マルセイユ大学〕の報告を行った。2015年度の研究会、シンポジウムを通じて、医学における「自己決定権」の解明が必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究予定として、研究成果は2017年3月としていたが、研究の進展と報告者の日程等により、1年早く開催することができた。それにより、研究最終年度の今年度は、生殖医療及び中絶における「自己決定権」・「人格権」に焦点を当てることを決定することができた。 さらに「国際共通基準」と「文化多様性」に関しても、2016年度の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は順調に進展しており、今年度は、次の2点の課題に関して研究を行ったうえで総括をする。 ①当事者の権利として、医学における「自己決定権」 ②法制化において考慮すべき法規範として、「国際共通基準」の役割と、各国における文化多様性(各国の文化・政治・宗教・歴史など)の関係 研究成果は、法政大学現代法研究所の助成金により、2017年度末の原稿締め切りとして出版を計画している。
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Causes of Carryover |
2014年度に予定していた海外からの講師招聘が、他の助成金で支出できたため、2015年度に繰り越しされたことが影響している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度は、海外の学会報告、調査などの海外出張が3回予定されておりその経費として支出予定である。
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