2015 Fiscal Year Annual Research Report
Consensual solution of family matter and verification of functions of family mediation
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26285027
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
二宮 周平 立命館大学, 法学部, 教授 (40131726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 健 札幌学院大学, 法学部, 准教授 (00556764)
金 成恩 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (00723884)
櫻田 嘉章 甲南大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10109407)
松久 和彦 香川大学, 法務研究科, 准教授 (90550426)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 家事調停 / メディエーション / 合意形成 / 面会交流の支援 / 子どもへの情報提供 / 家族の多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
シンポジウムを3回開催した。第 3 回養育支援制度研究会シンポジウムと共催で、「離婚紛争の初期対応の現状と課題~親と子どもへの情報提供と相談対応」(2015年7月18日、立命館大学朱雀キャンパス)、シンポジウム研究会「面会交流支援団体フォーラム2015」(2015年11月29日(日)、立命館大学朱雀キャンパス)、シンポジウム研究会「一人ひとりのセクシュアリティが大切にされる社会へ向けて~日本の現状と課題」(2016年2月7日、早稲田大学戸山キャンパス)。前2者は、合意解決の入口と出口の問題であり、後者は、合意解決に関連して、家族の多様化への対応の必要性を検討したものである。入口の問題に関しては、代表者二宮が「面会交流の意義と支援の新たな取組み」を戸籍時報729号に、「親の離婚と子どもへの情報提供~その必要性と可能性」を戸籍時報731号に公表し 家事調停委員に対して「離婚調停における親教育(ガイダンス)の必要性と課題」(2016年2月13日、神奈川県家事調停協会連合会合同研修会)として成果を公表した。 科研費を用いた調査としては、2016年2月17日~20日にかけてソウルで養育費履行管理院の訪問ヒアリング、ソウル家庭法院の義務的面談の相談員、面接交渉センターの支援員へのヒアリングを行い、合意解決を支援するための履行の支援の仕組みと現場を調査した。 また今回の科研基盤Bは、2010~2013年度の科研費基盤Aの後継プログラムの一面があり、総合した成果刊行出版を企画し、共同研究者に執筆分担をお願いし、全員、脱稿することができた(『子どもと離婚~合意解決と履行の支援』として2016年4月下旬、信山社から公刊予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調停での合意解決を担保するものとして、入口の親教育(ガイダンス)、子どもへの情報提供、出口の面会交流支援について、現状分析と、韓国訪問調査を参考にして改善の方向性を明確にすることができた。また民間の面会交流支援団体が一堂に会するフォーラムを開催することができ、ゆるやかなネットワーク構築の萌芽となり、研究業績の雑誌掲載や調停委員への研修など研究成果の社会的還元もできつつある。しかし、本体の調停の機能自体の検証はまだ十分でないことから、(2)と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
調停の機能の検証を行う。その前提として、新しい家族の諸問題についても知見を深め、家族の多様性に対応できる調停手法の開発、調停委員への研修などの課題を、韓国、台湾等東アジアの日本と共通する協議離婚制度の国々の状況と比較検討し、またこれまで手薄だったフランスの法制度との比較検討も行う。これまでの研究成果を踏まえて、韓国、台湾、日本の調停制度の現状と課題について国際シンポジウムを立命館大学にて開催する予定である。また研究成果の発信として、面会交流支援団体向けの支援手法平準化のためのパンフレット(ないしマニュアル)、子どもへの情報提供パンフレット(ないしホームページ作成とそこへのアップ)、相談対応をする法律専門職、心理専門職への共通ガイダンス・パンフレットの作成、刊行を行う。さらには、一人ひとりのセクシュアリティ(性指向、性自認)を尊重するための課題と方向性について、2016年2月のシンポジウム成果を活かした出版も検討する。
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Causes of Carryover |
代表者である二宮が立命館大学図書館長に就任し、新図書館の建設、寄贈者への対応などに時間を充てざるを得なかった事情から、当初予定した海外調査が韓国だけになったこと、期間中間に予定していた海外からの研究者・実務家を招聘してのシンポジウム研究会を開催できなかったことによる。これら未使用額分については、下記、2016年度の使用計画のように執行する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに2016年度計画に示したように、韓国、台湾を訪問して家事調停の実情を詳細に調査すること、韓国、台湾の研究者・実務家などを招聘し、日本との3カ国の国際シンポジウムを開催すること、これまで手薄だったフランスの合意解決の仕組み、家事メディエーションの実際を調査することに用いる。
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Research Products
(37 results)