2015 Fiscal Year Annual Research Report
内閣支持率の時系列分析-政治的事件・報道・世論の相互関係をめぐって
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26285031
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
福元 健太郎 学習院大学, 法学部, 教授 (50272414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 幸男 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (30347257)
飯田 健 同志社大学, 法学部, 准教授 (50468873)
大村 華子 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (90612383)
籠谷 公司 大阪経済大学, 経済学部, 講師 (60723195)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 内閣支持率 / 事件 / 報道 / 時系列分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
時事世論調査(以下、時事データ)のうち、2014年11月の個票データを購入した。調査期間中に衆院解散の見込みが突然表面化したので、調査日ごとに内閣支持率が変わるかを調べたが、有意な違いは見られなかった。 次のデータを収集・入力・整備した。日本が直面する対外脅威を測定する変数については、Integrated Crisis Early Warning System (ICEWS) プロジェクトが公開しているイベントデータを月次データで用いるための整備を行った。『時事世論調査特報』で公表されている属性別の内閣支持率についてはファイルを作成し、入念にデータクリーニングを行った。1960年7月から2015年12月迄が利用可能である。また2016年2月には、インターネット上で業績評価と内閣支持に関するサーヴェイも実施した。同データを用いた予備的な分析では、社会志向と個人志向の経済評価、政党支持、内閣支持の内生性に対処するために操作変数法を用いた推定を行い、それぞれの経済評価が内閣支持に与える因果効果を確認した。 既に公表されている時事データの内政に関わる変数も含めて、予備的分析を開始した。記述的な分析と並行し、データの癖を確認するために、他の新聞社やNHKが行っている世論調査結果との比較を行った。内閣支持率と関連している可能性が高い政策争点に関する世論との関係についても時期を絞って検討した。さらに、対外的脅威やそれについての報道が与える内閣支持率への影響は内閣ごとに異なるのか、異なるとして何が原因で異なるのかを検証するために、各月が内閣にネストされているとの前提の下、マルチレベルの時系列分析を行った。また標本誤差が分析に与える影響について引き続き理論的な考察を進めた。 研究打ち合わせを2015年4月9日に大阪で、10月11日に千葉で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、属性別集計データを時事通信社から購入するつもりであった。しかしながら2次元であれば一部の属性別集計データが『時事世論調査特報』などを通じて既に公表されていることが判明し、研究補助者を用いて入力できた。ただし、50冊以上の製本雑誌から、個別の内容を抜き出し、入力する作業は慎重を要すると同時に、入力内容のダブルチェックを行ったため当初の予定よりデータが揃うのが遅くなってしまい、分析があまり進まなかった。 また、日本が直面する対外脅威を測定するためにCOW MIDに基づく紛争データを構築したことに加えて、 ICEWSに基づくイベントデータから紛争データの構築に取り組んだ。このデータは、行為の主体、行為の対象、行為の種類を特定した10,000以上の変数からなるデータである。しかしながら、データのみが公開されており、データを読み込み、加工するためのソフトウェアが公開されておらず、必要なデータを吟味することに時間がかかり、分析まで進めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
属性別集計データのうち、公表されていない2次元データ、さらには3次元以上のデータのうち、どれを時事通信社から購入するかを、引き続き慎重に検討する。 次のデータを収集・入力・整備する。ICEWSに基づく対外脅威を測定する変数のデータを完成させる。また、Global Database of Events, Language, and Tone (GDELT) によるイベントに対するメディア記事のトーンの利用可能性を吟味するために、GDELT ver 2.0 の整備を行う。政党支持率の属性別のデータを整理する(自民党支持と政党支持なし)。新聞の社説からテキストマイニングの手法を用い、報道のトーンを表す数量データを作成する。また、新たに収集したサーヴェイのデータもあわせて、マクロ・レヴェルでの内閣支持率に関する分析のミクロ的裏付けも進める。 研究目的で提示した仮説の検証を開始する。第1に、対外的なイベントの発生が内閣支持率を上昇させるといういわゆる「旗の下の結集」効果が、国際的緊張の種類によって異なる(例えば内閣や政党に対する支持率に対して単に短期的な影響をもたらすのか、それとも持続的な影響をもたらすのか)という仮説を検証する。第2に、経済状態の不確実性に関する指標と内閣支持率の関係を分析する。第3に、国際世論のトーンの分散や、内閣支持率の分散についての考察を進める。第4に、内閣支持率が補選結果に与える影響について分析する。第5に、閣僚の醜聞や失言が内閣支持率に与える影響について分析する。第6に、報道におけるいくつかのキーワードの共起関係が、好きな国・嫌な国の割合に与える影響について分析する。第7に、標本誤差が分析に与える影響について理論的な考察を深める。第8に、月齢が内閣支持率の男女差に与える影響について分析する。 研究打ち合わせを東京(5月14日)、大阪(10月1-2日)で行う。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、属性別集計データを時事通信社から購入するつもりであった。しかしながら2次元であれば一部の属性別集計データが『時事世論調査特報』などを通じて既に公表されていることが判明した。そのため、属性別集計データのうち、公表されていない2次元データ、さらには3次元以上のデータを時事通信社から購入することにした。但し、慎重に検討を進めたため、どのデータを購入するかは今年度中に決定できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
属性別集計データのうち、公表されていない2次元データ、さらには3次元以上のデータから、入手するべきデータを特定し、時事通信社から購入する。
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