2015 Fiscal Year Annual Research Report
第二次大戦後ヨーロッパの「新秩序」構想の政治史的分析
Project/Area Number |
26285034
|
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
中田 瑞穂 明治学院大学, 国際学部, 教授 (70386506)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸澤 英典 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20335326)
網谷 龍介 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (40251433)
八十田 博人 共立女子大学, 国際学部, 准教授 (70444502)
板橋 拓己 成蹊大学, 法学部, 准教授 (80507153)
上原 良子 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (90310549)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 政治学 / ヨーロッパ政治史 / 比較政治 / 欧州統合 / 戦後改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は本研究プロジェクトの二年目に当たり、引き続き、研究に必要な資源の準備を継続し、各参加者は、文献・資料・データの体系的な目録の作成と収集に努めた。 またチェコスロヴァキア、カトリック統合運動、ドイツ保守系の質的分析に関しては、現地調査を実施し、入手困難な文献の購入・複写、文書館の未公開資料の探索、関係者へのインタビューなどを実施した。 これと並んで、理論動向の検討・共有と、分析枠組の精密化のために研究会の開催を継続した。年度内に四回開催した研究会の中で、二回はメンバーの報告を中心に行い、二回はメンバー外の専門家も招き専門知識の提供を仰いだ。メンバー外からの参加としては、特にヨーロッパ戦後史研究のすそ野を広げ、若手を育成するため、ヨーロッパ史の若手研究者に積極的に報告を呼びかけた。具体的には、戦後欧州の人権保障秩序構築についての報告、フランスの戦後福祉政策の分野での新秩序構想を1930年代から振り返る報告と、オランダにおける戦後議会政党関係の起源についての報告が実現した。 メンバー中心に実施した研究会では、保守右翼、カトリック、左翼の戦後秩序構想について理論動向の報告と、メンバーの研究の途中経過報告を行い、それぞれの戦後秩序構想の共通部分と分岐部分についての議論を詰めている。 なお、平成26年度に立ち上げた本研究のウェブサイト「European New Order after the WWII」では、これらの研究会の成果や、文献リストを公開している。 https://sites.google.com/site/europeanneworderafterthewwii/
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地での史料収集、文献収集、枠組み作りのための研究会はそれぞれ計画通り進んでいる。現地の史料収集については、予定通り、初年度に実施しなかった研究分担者の残りが実施し、二年間でほぼ全員が一回目の調査を終了した。文献収集もリストを作成しつつ、現物の収集を進めている。研究枠組みについては、保守、カトリック、左翼の各担当者が独自の枠組みを形成している途上である。ウェブサイトによって、情報の共有、公開も実施できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
共同研究三年目に入り、研究分担者によっては、研究の学会報告を始める段階になった。研究分担者の網谷は、2016年4月にドイツにおける民主主義論の系譜についての研究報告をフィラデルフィアで行われるヨーロッパ研究評議会CES(Council for European Studies)研究大会にて行う予定である。また、二度目の現地調査として、研究分担者の上原は、フランスニース大学ヨーロッパ研究所にて、Alexandre Marcの文書を分析し、八十田はイタリアにて、行動党の史料収集につとめる。研究代表者及び、そのほかの研究分担者は、今年度は海外調査は実施せず、昨年度収集した史料の分析に努める予定である。 これと並んで、理論動向の検討・共有と、分析枠組の精密化のために研究会の開催を継続する。第一回目の研究会には、ドイツ戦後補償関係の専門家とフランス戦後メディア体制の専門家を招き、ヨーロッパ戦後史研究のすそ野を広げる試みを行う。 第二回、第三回目の研究会は、共同研究のメンバーのみで報告と議論を行う。研究会では、個別研究の進展状況の報告を通じて、全体の枠組みの精緻化を構想し、まとめの方向性についての議論を行う予定である。引き続き、担当国、地域の他の政治グループの新秩序構想、自分の担当する政治グループの他国、他地域での動向についても二次文献を通じたフォローを行い、研究会で報告し、共同研究者間の共有を行う予定である。 研究成果の公表については、平成26年時に立ち上げた本共同研究のウェブサイトに、引き続き研究会の記録や、文献目録、データの所在など、研究の進展とともに生み出される中間的成果を、速やかに公開していく。また、平成29年度の学会報告に向けて、パネルを立てる準備を進める。
|
Causes of Carryover |
海外出張の一件が2016年3月中旬に実施されたため、その旅費とその際に購入された文献の支出が2017年度になったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年3月に実施された海外出張関連経費は2017年度に支出する。
|
Research Products
(18 results)