2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study on an effectiveness of a global tax: centring around climate change governance
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26285041
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
上村 雄彦 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 教授 (90309526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和仁 道郎 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 准教授 (10240566)
植田 和弘 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20144397) [Withdrawn]
伊藤 恭彦 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (30223192)
森 晶寿 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (30293814)
清水 規子 公益財団法人地球環境戦略研究機関, 気候変動とエネルギー, 研究員 (30345459)
望月 爾 立命館大学, 法学部, 教授 (60388080)
金子 文夫 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 名誉教授 (80114445)
諸富 徹 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80303064)
田村 堅太郎 公益財団法人地球環境戦略研究機関, ビジネスと環境, 上席研究員 (90372086)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | グローバル・タックス / グローバル・ガヴァナンス / 気候変動 / 金融取引税 / タックス・ヘイブン / 緑の気候基金 / 気候資金 / 世界政府 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、グローバル・タックスについて、①資金創出、②ガヴァナンス、③資金の使用の観点から分析を行い、グローバル・タックスの「上流から下流」までトータルに把握し、その効果に関して総合的な検証を行うことである。 これらの目的を達成するために、海外に赴いて国際会議に参加、あるいは調査を行い(1回)、海外からゲストを招聘して最新の情報を共有し(1回)、定例研究会(2回)を開催して、メンバー全体で情報を共有しつつ、最終成果物としての出版に向けた各章の構想発表を行うよう計画したが、すべて予定どおり実施することができた。 とりわけ、本年度は「パナマ文書」が話題となり、本研究会のメンバーが数多くの原稿執筆やメディア出演依頼を受け、メディア出演は15回に及んだ。メディア出演を通じて、問題を明らかにしつつ、グローバル・タックスの重要性をアピールしたことにより、研究成果を広く社会に共有することができた。これに関連して、イギリスからタックス・ジャスティス・ネットワーク会長のジョン・クリステン氏を招聘し、タックス・ヘイブンに関してさまざまな角度から議論を行うことができた。 また、本年度は初めて外務省が国際連帯税に関する有識者研究会「国際連帯税を導入する場合のあり得べき制度設計等に関する研究会」を設置したが、6名の委員のうち、4名が本研究プロジェクトのメンバーで占められ、座長代理として本研究代表者上村が、委員として、諸富、金子、望月が参加した。そこでは、航空券連帯税、金融取引税、炭素税、パスポート連帯税に関して最新の情報を集め、制度案を提示し、正当性、妥当性・実現可能性、関係業界への影響、国民の支持の観点から評価を行った。 これらの活動の成果も含め、平成28年度は関連する著書を8冊、論文・報告書を12本刊行し、学会・研究会では13回の報告を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、グローバル・タックスの哲学的・法的土台を明らかにし、UNITAID、ならびにグリーン気候基金のガヴァナンスと税の効果を考察し、金融取引税とその気候資金への適用、ガヴァナンスに与える影響について吟味することを通じて、グローバル・タックスの効果を総合的に評価し、政策立案に役立てることをめざした。 グローバル・タックスは、①課税に関する情報の世界的な共有、②国境を越えた革新的な課税の実施、③課税・徴税・分配のための新たなガヴァナンスの創造の3本柱からなるが、今年度は、「パナマ文書」の影響もあって、①に関する研究を大幅に進展させることができた。 また、上述のとおり、外務省が有識者研究会を設置したが、6名の委員のうち、4名が本研究プロジェクトのメンバーであったことにより研究の進展を図ることができた。さらに、研究会で外務省、国土交通省、金融庁、環境省の担当者と有識者が忌憚のない意見を述べ合ったことは特筆に値する。なぜなら、これは政策立案に向けての一つの土台作りに貢献したと考えられるからである。 定例研究会では上記の情報を共有しつつ、最終成果物としての出版に向けた各章の構想発表を行う中で、グローバル・タックスの法的土台、適応基金の税の効果、金融取引税と気候資金の最新の状況、世界政府論も含めたグローバル・ガヴァナンスのあり方などを深く議論し、グローバル・タックスを総合的に分析することができた。他方、グリーン気候基金のガヴァナンスと税の効果、金融取引税とその気候資金への適用、ガヴァナンスに与える影響については、前者は出張が叶わなかったため、後者は欧州における金融取引税がいまだ実現していないため、本年度は研究成果に加えることができなかった。 しかしながら、これまでに述べてきた成果や研究実績を勘案すると、平成28年度は「おおむね順調に進展している」以上の成果があったと言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロジェクトの申請時には、平成29年度が最終年度なる予定であったが、研究代表者が平成29年9月から平成30年8月まで、サバティカルでThe Graduate Institute of International and Development Studies(ジュネーブ)の客員フェロー(平成29年9月~平成30年2月)、ならびにヘルシンキ大学の客員教授(平成30年3月~平成30年8月)を務めることとなったので、本プロジェクトを1年間延長することとなった(平成31年3月まで)。 したがって、平成29年度は両研究機関に赴任し、本テーマにおける研究をそれぞれの大学の研究者との交流や講義も含めて深化させつつ、UNITAID(国際医薬品購入ファシリティ)、UNITLIFE(アフリカにおける栄養失調プログラムのための革新的開発基金)、欧州委員会、欧州議会、ブリュッセル自由大学など、ヨーロッパの関連機関に調査に赴いて、資料収集とともに関係者にインタヴューを行う。 同時に、最終成果物としての書籍の完成に向けた準備を着実に行うため、平成29年8月までに毎年2回行っている定例研究会を研究合宿に変更して集中的に行い、各メンバーによる各章の構想をさらに深める。各メンバーはそれをもとに、原稿の執筆を進め、研究代表者の調整の下、平成30年度中に書籍が完成することをめざす。
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Causes of Carryover |
本プロジェクトの申請時には、平成29年度が最終年度なる予定であったが、研究代表者が平成29年9月から平成30年8月まで、サバティカルでThe Graduate Institute of International and Development Studies(ジュネーブ)の客員フェロー(平成29年9月~平成30年2月)、ならびにヘルシンキ大学の客員教授(平成30年3月~平成30年8月)を務めることとなった。
そこで、本プロジェクトを1年間延長することで(平成31年3月まで)、これらの研究成果を本プロジェクトの最終成果に組入れ、より質の高い研究の完遂をめざすこととなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年9月~平成30年2月はThe Graduate Institute of International and Development Studiesに、平成30年3月からはヘルシンキ大学に赴任し、本テーマにおける研究をそれぞれの大学の研究者との交流や講義も含めて深化させる。また、両機関滞在中にUNITAID、UNITLIFE、欧州委員会、欧州議会、ブリュッセル自由大学など、ヨーロッパの関連機関に調査に赴いて、資料収集とともに関係者にインタヴューを行う。
同時に、最終成果物としての書籍の完成に向けた準備を着実に行うため、平成29年8月までに毎年2回行っている定例研究会を研究合宿に変更して集中的に行い、各メンバーによる各章の構想をさらに深める。各メンバーはそれをもとに、原稿の執筆を進め、研究代表者の調整の下、平成30年度中に刊行することをめざす。
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Research Products
(33 results)
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[Presentation] 「世界政府論」2016
Author(s)
上村 雄彦
Organizer
2016年度第2回グローバル・タックス研究会Ⅱ
Place of Presentation
京都大学(京都府京都市左京区)
Year and Date
2016-12-28 – 2016-12-28
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