2014 Fiscal Year Annual Research Report
地方の社会解体的危機に抗する「地域生活文化圏」形成の可能性
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26285112
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西村 雄郎 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (50164588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 信彦 神戸大学, 人文学研究科, 名誉教授 (20086052)
鰺坂 学 同志社大学, 社会学部, 教授 (60135960)
藤井 和佐 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (90324954)
河野 健男 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (40144901)
高野 和良 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (20275431)
杉本 久未子 大阪人間科学大学, 人間科学部, 教授 (60340882)
松宮 朝 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (10322778)
相川 陽一 長野大学, 環境ツーリズム学部, 助教 (90712133)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地域生活文化圏 / 地域イデア / 地域解体的危機 / 十勝・帯広地域文化圏 / 大崎地域文化圏 / 綾部地域文化圏 / 日田地域文化圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本社会の構造変容の中で、地域固有のく地域イデア>を内在させながら自律的な地域形成を図っている北海道十勝・帯広地域文化圏 (担当:西村、相川)、宮城県大崎地域文化圏(岩崎、藤井)、京都府綾部地域文化圏(鰺坂、河野、松宮)、大分県日田地域文化圏(高野、杉本)の4圏域で展開されてきた住民、自治体、集落、農協、NPO、企業体などの活動を比較分析し、サスティナプルな「地域生活文化圏」の特質を明らかにするとともに、これを通して新たな日本社会のあり方を構想することにある(総括担当: 西村)。 この研究目的を達成するため、本研究では3年間の研究期間を通して4圏域を対象に、1)統計的データによる圏域構造の分析、2)戦前期の農村自治活動、「農基法農政」や市町村合併への対応をトピックとする地域形成史分析、3)各圏域内の住民、自治体、集落、農協、NPO、企業体による協業、協働の分析、4)住民を対象とする質問紙調査、5)中心都市と圏域 自治体や外部社会との関係分析などを行う、という研究計画を立てた。 平成26年度は、研究実施の初年度として、各圏域担当者が1)各圏域に関する先行研究の検討、2)調査対象地域の住民、自治体、集落、農協、NPO、企業などに対する聞き取り調査と資料収集を各圏域で複数回実施するとともに、4)統計的データによる圏域構造の分析をおこない、5)これらの成果をもとに三回の研究会を開催し研究メンバー間で調査対象圏域の状況把握を行うとともに、次年度以降の研究計画について議論を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は研究参加メンバーが依拠する地域社会学、都市社会学、農村社会学、福祉社会学などの社会学的な調査方法を用いて、研究目的を達成することを目標としている。 今年度は各圏域担当者が上記の方法に依って調査対象地域文化圏を分担して、1)各圏域に関する先行研究の検討、2)調査対象地域の住民、自治体、集落、農協、NPO、企業などに対する聞き取り調査と資料収集を各圏域で複数回実施するとともに、4)統計的データによる圏域構造の分析をおこない、5)これらの成果をもとに三回の研究会を開催し全研究メンバーで調査対象圏域の状況把握を行うとともに、次年度以降の研究計画について議論を重ねた。 各地域生活文化圏の聞き取り調査に進展具合のズレはあるものの、各圏域とも研究初年度の目標であった地域概況把握と調査課題の明確化という課題は達成できており、おおむね研究は順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、前年度の成果をふまえ、1)各地域文化圏の地域課題に即したインテンシプな聞き取り調査、資料収集、デ ータ分析を行うとともに、2)統計的データを用いての地域構造分析をおこなう。さらに、新たな研究として、1)各地域生活文化圏の歴史的な形成過程を明らかにすることを通して各圏域の<地域イデア>の特性を把握するとともに、2)各地域生活文化圏の中心都市と圏域内自治体や外部社会との関係分析を行い、各圏域の中心都市の<中心性>の持つ意味を明らかにする。また、3)各圏域の研究課題に関わる問題について2つ程度の圏域において住民生活意識調査を実施し、4)これらの研究成果を踏まえて研究会を開催し各地域生活文化圏の特性把握を行う。 平成28年度は、1)前年度までの残された研究課題の調査研究を行うとともに、2)前年度までの研究成果を検討、整理し、調査対象としてきた4圏域がいかなるかたちで地域固有の生活原理である く地域イデア>を生成してきたかを明らかにする。さらに、3)それを基底において各圏域住民が自律的、内発的に形成してきた各<地域生活文化圏>の特質を明らかにしたうえで、4)4圏域の特質の比較検討を行い、これらを通して、5)地方の解体的危機に抗することのできるく地域生活文化圏>形成の可能性を検討するとともに、生活解体的危機に直面している 日本社会の新たなあり方を構想する。
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Causes of Carryover |
今年度の直接経費使用額に残額が出たのは年度末に調査旅行を企画し、日程の関係上調査旅行を実施できなかったものと、調査旅行を実施したものの全金額が使用できなかったため、「次年度使用額」となったものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「次年度使用額」については、今年度の調査旅行において使用する予定である。
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