2016 Fiscal Year Annual Research Report
交通インパクトの社会学的効果に関する研究-量と質とビジュアルの混合研究法-
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26285119
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
後藤 範章 日本大学, 文理学部, 教授 (70205607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 英美 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (80155069)
小山 雄一郎 玉川大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40439542)
松橋 達矢 日本大学, 文理学部, 准教授 (50546265)
浅川 達人 明治学院大学, 社会学部, 教授 (40270665)
松林 秀樹 関東学園大学, 経済学部, 教授 (20453417)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 交通社会学 / 交通インパクト / 鉄道交通ネットワーク / 都市圏の空間構成 / 社会地区分析 / 生活圏・行動圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、4地点でほぼ同一の調査票を用いた標本調査を実施した。後藤は、2005年に開業してから11年後のつくばエクスプレス(TX)沿線の埼玉県八潮市で1,200サンプルの調査票調査を(回収率45.8%)、小山も、同じくTX沿線の埼玉県三郷市で1,200サンプルの調査票調査を(同49.1%)、田代は、2011年に全線(2004年に一部)開業した九州新幹線沿線の福岡県筑後市で1,500サンプル(同37.5%)/鹿児島県鹿児島市で1,500サンプルの調査票調査(同34.9%)を、それぞれ実施した。 第二に、田代は、筑後市での調査票調査に先だって、筑後市にある「タマホームスタジアム」(2016年3月に開業した福岡ソフトバンクホークスの新ファーム本拠地の主要施設)で、2軍公式戦開催日に来場者を対象とするアンケート調査を実施した(有効回収数113)。 第三に、浅川は、一昨年度の首都圏、昨年度の信越・北陸・東海地方に続き、福岡大都市圏と鹿児島都市圏を含む九州地方を対象として、国勢調査データによる社会地区分析を行った。 第四に、2016年度の調査研究の成果を中間的に取りまとめ、日本都市学会第64回大会において、代表者及び分担者の6人全員で「新線開業の社会・経済的効果に関する実証的研究(2) ―埼京線・SR・TXと北陸新幹線・九州新幹線を事例とする第二次報告―」と題する研究発表を行った。 第五に、2015年10月に日本都市学会第63回大会で行った研究発表を基にした6人による共著論文「新線開業の社会学的効果に関する実証的研究(1)」を『日本都市学会年報』第49号に掲載した。また、調査票調査及びアンケート調査関連の報告書を、合計4冊(松林・後藤・小山・田代がそれぞれ編集して)刊行した。また、浅川は、東京圏の社会地区分析の結果を英文論文にまとめ、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
第一に、2013年10月申請時の「研究計画調書」では調査対象にしていなかった福岡県筑後市の「タマスタ」で、プロ野球パリーグの2軍公式戦来場者にアンケート調査を実施して、新幹線利用実態やどの程度の範域から人を呼び集めるかなどについて明らかにできたこと。 第二に、九州新幹線沿線の筑後市と鹿児島市で、共に1,500サンプルもの大量観察ができたこと。 第三に、2014・15年に続き16年も(3年連続で)日本都市学会大会で研究発表を行い、かつ2015・16年に続き17年5月発行の『日本都市学会年報』に3年連続で論文が掲載される見通しであること。 以上の三点は、当初の計画以上に進展している証でもある。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、調査票調査の本調査を全て実施し、データの集計と分析も順調に進んでいるので、今年度は必要に応じて補充調査と追加調査を実施すると共に、データ分析をより深化させていく。 第二に、今年度は最終年でもあるので、これまでの研究プロジェクトの成果の集大成をはかる。そのために、今年度前半に各自が分析と考察をより一層進めて、成果を持ち寄って発表・討論するために、研究会合宿を9月か10月あたりに実施する。 第三に、それを踏まえて、11月4日(土)・5日(日)に東大で開催される日本社会学会第90回大会で、6人が本プロジェクトの成果を基にして合計6本の研究発表を行う。 第四に、その研究発表の内容を基にして論文を仕上げて、それらを集成・編集して1冊の書籍にして出版し、本プロジェクトによる成果を世に問う。
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Causes of Carryover |
約107万円もの次年度使用額になった最大の理由は、研究分担者の田代氏への配分研究費(基金)を約80万円も使い残したことによる。田代氏は、上掲の通り、2016年度に1,500サンプルの調査票調査を2地点で、アンケート調査を1地点で実施するなど、本プロジェクトを強力に推し進め、大きな成果を上げている。ところが、経費については、一般社団法人 社会調査協会から受けた実習助成金と学内の予算を多く充てたため、科研の配分研究費を結果的に使い残すことになった。 他の研究分担者も使い残し額があるが、軽微なものに留まっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度の田代氏への配分額は10万円となっているが、これまで使い残した80万円と共に、約90万円をあてて、2016年度に調査票調査を実施した筑後市・鹿児島市とはパターンの異なる都市(佐賀県鳥栖市や鹿児島県薩摩川内市)で1,500サンプルの大規模調査を実施することを検討している。 当初の研究計画調書にはない、いわば予定外の調査となるが、これによって九州新幹線開業の社会的インパクトをより多角的に明らかにすることが可能となり、本プロジェクトに多大な貢献をなすことにもなる。
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Research Products
(7 results)