2014 Fiscal Year Annual Research Report
在宅で行う二重課題歩行運動プログラムの開発と歩行と認知機能の改善効果に関する研究
Project/Area Number |
26285129
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
北澤 一利 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00204884)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 満 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50175634)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 在宅 / 認知機能 / 二重課題運動 / ふまねっと運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
(平成26年度の研究実績) 高齢による認知機能の低下や軽度認知機能障害を改善するために、二重課題歩行運動プログラムを開発し、その効果に関する実証研究を行った。一般的な家庭でみられる6畳間の広さの部屋に1.5m×2.0mの大きさの網状の運動用具「ふまねっとホームワーク」を開発した。高齢者は、この網の上を、網を踏まないように注意してゆっくり歩く練習をする。この時、あらかじめ網のマス目を使ってステップのルールを定めておき、高齢者にこのルールに従って歩くように指示をする。高齢者は、歩く、網をよく見る、ステップのルールに従うなどの複数の課題を、同時に正確に処理することを求められる。 この二重課題歩行運動の効果を検証するために、一般家庭の和室を利用して、在宅で「ふまねっとホームワーク」を用いた予備実験を行った。60歳代から90歳までの一般高齢者50人を対象に、広さが6畳程度の部屋で、60分で完了する運動プログラム「ふまねっとホームワーク」に自由に参加してもらった。1ヶ月間の予備的観察試験の結果、歩行機能(TUG)が9.7%改善した。25項目の基本チェックリストでは、「外出」、「ものわすれ」、「うつ」などの項目で10%以上の改善が認められた。この他に、認知症の患者を対象に、毎週1回、1ヶ月間の予備介入試験を行った。その結果、歩行機能の改善は認められたが、認知機能については変化がみられなかった。認知症の患者を対象とした二重課題歩行運動の指導について、一般高齢者とは異なる手順と方法を検討、開発することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究に必要な機材の納品が遅れたため、測定開始が予定よりも後になった。研究のデザインを検討するために、予備実験を行った。研究協力者40名を対象に、認知症の患者のためのふまねっと運動の指導方法を開発した。認知症の患者の指導法については、あらかじめステップの練習をしてから行うのではなく、一緒に歩きながら、ステップを覚えていくという方法をとる。これは、からだで覚えて認知機能の記憶を形成するという順番である。この動きから認知(記憶)というルートで、認知機能の改善効果を検討した。
|
Strategy for Future Research Activity |
在宅による二重課題歩行運動プログラムの実施要領 1年目の研究で開発した二重課題歩行運動プログラムを用いて、対象となる高齢者に毎週2回、合計8週間の介入を実施する。比較対象として軽負荷の「筋トレ運動」を行う。【対象者の抽出】:釧路市と連携して住民基本台帳より釧路市内の70歳以上90歳未満の高齢者を無作為に80人を抽出する。説明の後に、研究に承諾を頂いた方を対象者とする。除外項目を適応した後に対象者数40人が確保されるよう目標とする。対象者は、無作為に20人ずつ二つのグループに分ける。【測定の周期】:介入開始の2週間前にベースラインを測定する。在宅で行うプログラムであるので、すべての測定と運動介入は「個別スケジュール」で進行する。したがって、開始日、測定日、終了日は、各対象者別々に設定される。一人の対象者は、ベースライン測定、第一次介入終了直後、第二次介入開始前、第二次介入終了直後、第二次介入終了4週間後の合計5回の測定を行う。二つのグループは、「二重課題運動」と「筋トレ運動」を順番を変えて実施する。
【測定項目】:(属性)身長、体重、生年月日、既往症、診断、投薬、要介護認定度(運動機能)一日歩数(7時から19時まで)、握力(kg)、開眼片足立(秒)(健康指標)ADL、IADL、Barthel Index、SF-8、 GDS(歩行機能)(GAITRite、歩幅、重心位置、速度、加速度、Timed Up and Go)(認知機能)タッチエム、MMSE(脱落率)すべての介入において運動プログラムへの不参加数をカウントする。
|
Causes of Carryover |
当初購入を予定していた物品(歩行機能測定器)費の納入価格が見積価格を下回ったため、差額が生じ、残金が発生した。年度内の研究に予定していた支出を行った結果、残金を次年度に使用することとした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の成功のため、次年度使用額を利用して必要となる統計処理プログラムと、データ管理プログラム、PC関連機材を購入する。これによって、研究の遅れを取り戻し、予定していた成果を上げることができる。
|
Research Products
(3 results)