2014 Fiscal Year Annual Research Report
介護労働者の感情労働負担軽減を目的としたコミュニケーション・プログラム開発
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26285136
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
安部 猛 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (80621375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 美保 (貫美保) 西南学院大学, 人間科学部, 准教授(移行) (90326992)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医療・福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国では、高齢者への看護・介護労働に対する需要が増加し続けているが、労働者の定着率は低く離職率は低下していない。また、高い離職率は、賃金体系や勤務形態など制度的な要因による影響も大きいとされるが、問題の解決には至っていない。そこで、解決策の基礎的資料とするため、コミュニケーションプログラムによる介入研究を行う。高齢化が進むわが国における対人支援サービスの中でも、当該分野での従事者は、従来の知的労働、身体労働だけではなく、強度な精神労働を必要とされている。これら三つの労働による負担感を正確かつ客観的に評価し、自身の健康状態と関連付けることは、質の高いパフォーマンスを提供でき、かつ少しでも長く仕事を続けるために重要である。そこで、本研究では、高齢者看護・介護労働者の健康度改善と離職率・定着率改善のためのコミュニケーションプログラムを開発することを目的としている。そこで、まず、労働内容の正確な測定並びに評価のため、調査項目に関連する文献レビュー、レビューに基づいた項目を使用し、プレスタディとして労働者および経営者へのインタビューを行い、さらに、複合的医療・社会福祉法人での調査を実施しデータを収集した。今後は、データセットを作成し、解析により労働者の健康状態や離職率改善、すなわちアウトカムに関連する要因を特定する。解析によって、コミュニケーションプログラム作成に不可欠である、労働内容の正確な評価データが得られる。引いては労働者確保の政策に必要な基礎的資料とすることが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
労働内容の正確な測定並びに評価のため、調査項目に関連する文献レビュー、レビューに基づいた項目を使用し、プレスタディとして労働者および経営者へのインタビューを行い、さらに、複合的医療・社会福祉法人での調査を実施しデータを収集した。今後は、コミュニケーションプログラム作成に不可欠な労働内容の正確な評価を得るため、データセットを作成しデータ解析する。この解析により労働者の健康状態や離職率改善、すなわちアウトカムに関連する要因を特定し、コミュニケーションプログラム作成の資料を得られることから、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
労働内容の正確な測定並びに評価を行うため、プレスタディとして調査を実施した複合的医療・社会福祉法人でのデータ解析を継続して実施する。解析に際しては、労働者のアウトカムには多数の要因が含まれる可能性があり、探索的に交互作用を特定できる分析が有用である。通常の線形モデルであると、n数を多数確保できたとしても、多重共線性が複数の変数間で観察されたり、残差の正規性が担保されないことから、妥当なモデルが成立しないことが多い。そのような限界にも対応可能な信号検出分析法を用いて解析する。この方法により2変数の交互作用だけではなく、重層的な構造を持つ交互作用の特定が可能となり、対象者を特定の条件を持つ下位グループに分類することができる。アウトカムについては、各要因が独立に影響しているのではなく、複数の要因が関連しあって影響しているので、信号検出分析法により、現状に即した情報を取得することができる。なお、データ入力は業者発注の上、データセットを作成する予定である。得られた知見については、原著論文として海外学術誌に投稿する。また、関連学会へ参加し、ヘルスコミュニケーションプログラム開発のための情報収集も継続させる。
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Causes of Carryover |
コミュニケーションプログラム作成に必要な項目には、先行知見による項目を使用することが可能となったことから、大規模調査ではなく小規模なプレスタディのみを行った。そのため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には、データセット作成とデータ解析、および論文作成並びに学会発表を計画している。また、コミュニケーションプログラム作成のための情報収集、学会活動、データ収集も予定していることから、次年度において使用が見込まれている。
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