2014 Fiscal Year Annual Research Report
変動する社会における社会保障公私ミックスの変容―量質混合方法論による接近
Project/Area Number |
26285140
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松田 亮三 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20260812)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 雅俊 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 准教授 (10543514)
深澤 敦 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40288618)
鎮目 真人 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (50285508)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 社会保障 / 公私ミックス / 量質混合方法 / 福祉国家 / 年金 / 医療 / 介護 / 家族福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.俯瞰的分析に向けた社会保障公私ミックスデータベースの構築:国際機関、研究機関等が更新しているデータベースについての検討を行い、独自データベース構築の可能性を探求した。また、それらを活用した先行研究について検討し、①収載データ、②利用者像、③ユーザビリティ、④更新、⑤著作権についての検討をすすめた。その活用に向けて、社会保障の公私ミックスが議論されるようになった学術的・現実的文脈、特に福祉国家におけるガバナンスをめぐる議論の批判的考察を行った。 2.社会保障公私ミックスについての質的分析と操作変数の探究:社会保障の各分野についての、質的検討を医療、年金、家族、介護などについてすすめた。医療については、公私ミックスをめぐる先行研究、とりわけ国際機関の議論と国家・社会・市場という3区分による類型論の有効性の検討をすすめた。年金については、公私の混合形態について、国際機関においてどのような形のものが提唱されているのかということをレビューし、そのメリットやデメリットに関する議論を整理した。また、公私ミックスの性格を有するフランスの社会保障において特に重要な位置を占めている家族手当の歴史的展開を特に「人口問題」との関わりで検討し、そこからの質的変数の開発についても検討した。また、今日のフランス医療政策における公私ミックスの状況について明らかにするため現地調査を実施した。日本医療の公私ミックスの変化の検討を行うとともに、介護、家族手当等の先行研究を検討した。 3.社会保障公私ミックスについての量的分析:公私ミックスの先行研究を検討するとともに、介護と女性の労働力参加等の個別的研究をすすめた。 以上のために、プロジェクト会議・研究会・国際研究集会・国際シンポジウムを開催し、成果を共有するとともに、国内外の学会で報告するとともに、国際会議の準備に向けた国際的ネットワークの構築を図った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、初年度においてデータベースの構築を完了し、2年次から運用を開始するとなっていたが、質的変数の収載について理論的・実際的課題が明らかとなり、構築途上において初年度を終えることとなった。年金、医療という二分野においては、検討を進展させることができたが、他の分野を含めて総合的案データベースを追及しているからでもある。 個別の質的研究や量的研究は着実に進展しており、成果をあげつつあるものの、上記課題は本研究計画の中核部分をなすものであるので、「やや遅れている」と評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究成果をふまえて、福祉国家における公私ミックスの多様なパターンの類型化、年金、医療、介護、家族福祉、関連する社会変数を組み入れたデータベースを速やかに構築する。このため、基本的にはすでに発表されている変数を活用することを重視して、暫定的なデータベースを構築するとともに、必要であれば、介護、家族福祉等の公私ミックスについて検討している研究者の参画を求めるなど、研究体制の補強も行っていく。その上で、それを活用し、公私ミックスに関わる政治・経済・社会要因についての、検討を実証的かつ理論的に検討していく。 同時に、現代、歴史の質的研究を進めて、本研究を起点とする新たな質的変数の構築も探究していきく。研究プロジェクト会議、研究会の開催については、昨年度同様にすすめるが、特にデータベース構築に焦点を絞った会合を設定し、機動的に研究を推進する予定である。 また、次年度予定している国際会議については、共通の関心を持っている研究者を中心に、ネットワーク化を図り、国際会議の企画を予備的にすすめていく。 さらに、昨年度からの研究会・研究集会・国際会議等の成果については、すみやかに単行本等で公表していく。
|
Causes of Carryover |
本年度に成果公表を行えるべく予定していた出版物が、年度内の発行が難しくなったため、次年度に行うこととしたため。また、英文での成果公表に向けたプルーフリーディング等の費用を予定していたが、内容の質的向上を図るために、次年度に実施することとしたためである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
俯瞰的分析に向けた社会保障公私ミックスデータベースの構築をすすめるため、データベースならびに関係資料の購入、公表のためのサーバーの調達等に用いる。社会保障公私ミックスについての質的分析と操作変数の探求に向けて、各国の社会保障公私ミックスについての質的・量的分析を行うための資料購入、調査旅費等に使用する。プロジェクト会議のための研究会開催・学会での成果報告のために、旅費、会議費、英文校閲等に使用する。また、招聘研究者を迎えた研究会開催のための旅費、謝金等に使用するする。 成果発表として学術書の出版のための出版費用、学術誌への投稿料、英文校閲等に使用する予定である。その他研究遂行中に生じた新たな研究展開を生かすためのネットワーク形成、次年度の国際会議に向けた打ち合わせに向けた会合のための旅費・会議費等に用いる予定である。
|
Research Products
(20 results)