2017 Fiscal Year Annual Research Report
変動する社会における社会保障公私ミックスの変容―量質混合方法論による接近
Project/Area Number |
26285140
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松田 亮三 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20260812)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 雅俊 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (10543514)
深澤 敦 立命館大学, 産業社会学部, 授業担当講師 (40288618)
鎮目 真人 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (50285508)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 社会保障 / 公私ミックス / 混合研究法 / 福祉国家 / 年金 / 医療 / 介護 / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.俯瞰的分析に向けた社会保障公私ミックスデータベースの構築:昨年に続き活用先行研究をふまえて、収載データ、利用者像、ユーザビリティ、更新、著作権についての検討をすすめた。社会保障の公私ミックスの多様な文脈を事例研究、比較研究、縦断研究等の手法に照らして検討した。 2.社会保障公私ミックスについての質的分析と操作変数の探究:昨年に続き社会保障の各分野についての質的検討を医療、年金、家族、介護などについてすすめた。これにより明らかとなった事項として、医療保険制度改革における政治の日韓比較を通じた、政策課題設定における制度の制約性の解明、日本の年金制度改革、特に2009年改革の検討を通じた、「上乗せ・横出し」にとどまっているというその性質の解明、日本とオーストラリアの社会的保護の比較検討を通じて、そこにおける「政治-経済」および「政治-社会」の関係性変化の解明、が含まれる。 3.社会保障公私ミックスについての量的分析:医療機構における公私ミックスを供給、財政の両面で把握し、さらに健康格差・健康状態との関連を検討する国際比較研究を進めた。また、各種サービスにおいては地域単位での分析をすすめる課題が明らかとなってきたため、パネル分析など近年の研究手法の進展をふまえた実証分析の作業をすすめた。 4.社会保障公私ミックスについての理論的検討:上記課題と合わせて検討をすすめた。特に、Hackerによる制度改革類型の拡張的適用(制度縮減だけでなく拡大にも適用)、メタガバナンス論の検討、批判的実在論の知見に依拠した福祉国家モデル分析の枠組みの検討・構築をすすめた。以上のために、進捗会議・研究会を開催し、国内外の学会等での報告、公刊論文への批判点検討の組織、を行った。最後に、研究の進捗状況を総合的に判断し、より豊かな成果を求めて次年度に研究期間を延長し国際シンポジウムを開催することとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、社会保障の各分野における既存データに加えて、量質混合研究という課題に合った新たな質的変数の形成を試みてきたが、この作業に想定以上に時間を要した。さらに、本研究課題の成果の質を向上するために、国際ジャーナル等での公表を目指し国際会議を開催するよう変更した。これをすすめていく上で、明確な研究成果の産出が前提となったが、上記の事情があるため、全体として遅延することとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2018年度前半において質的変数をめぐる研究課題についての目途をつけ、本研究期間における具体的成果を計画する。特に、国際研究会議の開催を軸とし、国際ジャーナル等での出版を展望して実施していく。
|
Causes of Carryover |
本研究では、社会保障の各分野における既存データに加えて、量質混合研究という課題に合った新たな質的変数の形成を試みてきたが、この作業に想定以上に時間を要した。さらに、本研究課題の成果の質を向上するために、国際ジャーナル等での公表を目指し国際会議を開催するよう変更した。これをすすめていく上で、明確な研究成果の産出が前提となったが、上記の事情があるため、全体として遅延することとなった。上記の理由により、国際会議の開催等を次年度に延期し、研究期間の延長を行ったため、次年度使用額が生じた。 次年度については、国際会議の開催に伴う旅費、人件費、物品費、研究図書などの研究資料の購入に用いる計画である。
|
Research Products
(17 results)