2017 Fiscal Year Annual Research Report
戦後東アジア諸地域における教育の比較史的分析―冷戦と植民地主義に着目して―
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26285174
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
駒込 武 京都大学, 教育学研究科, 教授 (80221977)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 植民地 / 冷戦 / 台湾 / 朝鮮 / 沖縄 / 教育 / 生活綴方 / 平和運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度においては、下記のように「戦後東アジアにおける植民地主義と冷戦」研究会を行った。 ○第1回:6月18日(日)13時~17時(場所:京都大学駒込研究室)、報告:駒込武「台湾における政治受難の伏流水―「更新されるべき正義」への問いかけ」、○第2回:10月1日(日)13時~17時(場所:京都大学駒込研究室)、報告:小川正人(北海道博物館)「択捉のアイヌ・高城重吉について─1881年の公立学校設置と、戦後の「北方領土」返還運動をむすんで考察する―」、○第3回:12月10日(日)13時~17時(場所:京都大学駒込研究室)、報告:板垣竜太(同志社大学)「映画「朝鮮の子」(1955)論」、○第4回:2018年1月27日(土) 18時~(場所:奄美大島教育会館)、坂本紀子 氏 (北海道教育大学函館校) 「鹿児島県大島郡十島村の義務教育獲得への歩み」 このほかに、8月に須永哲思、永田和寛、山口刀也の3名で秋田にて北方教育運動関係の調査をおこなったほか、12月には小川が奄美大島および鹿児島にて奄美教育史関係資料の調査、1月の奄美大島における研究会の後にも奄美奄美教育史関係資料の調査をおこなった。 これらの調査に基づいた研究成果は、『資料で考える植民地主義』にかかわるシリーズとして岩波書店より刊行予定であるほか、1950年代に平凡社から刊行された『世界の子ども』について特に中国・台湾・朝鮮・沖縄の子どもの作文を分析した研究を『世界誌としての生活綴方―冷戦と植民地主義をめぐる「問い」の地平』(仮題)としてこれも岩波書店から刊行準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果のうち、『資料で考える植民地主義』シリーズの内、アイヌ篇、沖縄篇、朝鮮篇については今年度中に刊行の見込みが立っているが、台湾篇、奄美大島篇に関してはもう少し先になる見通しである。また、研究成果の内、『世界誌としての生活綴方―冷戦と植民地主義をめぐる「問い」の地平』(仮題)については今年度中に刊行予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
『資料で考える植民地主義』台湾篇に関しては関連資料を中国語から日本語に訳出する作業を進めることが今後の重要課題であり、奄美大島篇については奄美教職員組合所蔵資料の整理を進めるかたわら資料の読み込みを深めていく必要がある。 『世界誌としての生活綴方―冷戦と植民地主義をめぐる「問い」の地平』(仮題)については吉田九洲穂文書の整理を進めるかたわら、『世界の子ども』刊行にいたる事実関係と、刊行後の反響などについてさらに補充調査を進める必要がある。
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Causes of Carryover |
資料の収集・整理にかかわるアルバイト要員に対して謝金を支払う予定であったにもかかわらず、大学院生の希望者にボランティアとして資料の収集・整理をお願いすることになったことと、研究会開催のための旅費に十分な余裕を残すため物品費としての書籍購入を最小限に抑えたため。次年度には計画的にアルバイト要員として謝金を支払う体制を整えるとともに、必要な旅費についてもあらかじめなるべく具体的な見積もりを出しておくことにより、従来通り旅費支出を中心としながらも、物品費や謝金にも十分な予算をあてることに努めたい。
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