2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本型授業研究の独自性とその再文脈化に関する開発研究
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26285182
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
的場 正美 東海学園大学, 教育学部, 教授 (40142286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金津 琢哉 東海学園大学, 教育学部, 准教授 (20633522)
小林 宏己 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30302904)
久野 弘幸 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (30325302)
倉本 哲男 愛知教育大学, 教育実践研究科, 教授 (30404114)
安達 仁美 信州大学, 教育学部, 助教 (30506712)
サルカルアラニ モハメドレザ 帝京大学, 教育学部, 教授 (30535696)
副島 孝 愛知文教大学, 人文学部, 教授 (30593107)
坂本 篤史 星城大学, リハビリテーション学部, 研究員 (30632137)
田上 哲 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50236717)
大野 栄三 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60271615)
深澤 広明 広島大学, 教育学研究科, 教授 (70165249)
柴田 好章 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70293272)
杉本 憲子 茨城大学, 教育学部, 准教授 (70344827)
吉田 成章 広島大学, 教育学研究科, 講師 (70514313)
田村 知子 岐阜大学, 教職大学院, 准教授 (90435107)
原 宏史 東海学園大学, 教育学部, 准教授 (90524489)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本型授業研究 / 授業分析 / 分析手法 / 授業記録 / 文化的メンタルモデル / 再文脈化 / 可視化 / ティーチング・スクリップト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、文脈に依存している授業研究の各領域を、次の4つの依存度レベルに区分し、各レベルの解明と研究を通して、日本の授業研究の独自性を解明し、それをふたたび授業実践に再文脈化する開発研究である。1)文脈に最も依存する領域(レベル1)では学校づくりと学級づくりなど学校経営および集団研究と授業研究の関係を解明する。2)比較的文脈に依存する領域(レベル2)では教材研究と子ども研究を解明する。3)比較的文脈に依存しない領域(レベル3)では授業研究の理論と方法の研究をおこなう。4)他の文化と相対的に比較可能な領域(レベル4)では、その国や地域の文化を背景とした授業のメンタルモデルを解明する。 平成26年度は、次の課題を重点課題として挙げた:1)授業研究の精神と文化の解明、2)ペダゴジーと実践に関する日本型授業研究と授業分析のアプローチの解明、3)授業分析の手法として、九州大学で開発された発言表にもとづく授業分析の方法、語彙の累積分布による量的分析手法、発言の記述方法など授業分析の手法を解明、4)授業分析と授業研究の関連性とサイクル、各ステップの要素と関連の解明。1)については研究分担者のアラニ、柴田、久野が2国間の授業をそれぞれの学校教員が相互に批評・比較することでそれぞれの国の学校文化のスクリプトを解明した。2)と4)については、ブルネイの国際セミナーで授業分析の手法を組み込んだ授業研究がエビデンスに根拠を置いた研究であり、授業研究を持続するための支援になることを示した。3)については、転記情報の視角化と解釈の明示化を担保する記述言語の可能性を示した。 到達目標としては、全ての課題解明の基礎調査として日本全国における典型的な授業研究の事例の発掘調査を行った。これまでの日本国内の授業記録の整備だけでなく、ドイツ、中国の授業記録を整備し、ブルネイやインドネシアの授業を記録・録画した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重点研究として挙げたメンタルモデルとテーチング・スクリップの解明は研究分担者のアラニ教授の科研によって十分な成果を得ている。その一部に研究代表者も関わった。第2の重点研究である授業研究の段階については、ブルネイと日本の国交樹立30周年の記念行事として実施された国際セミナーにおいて的場、柴田、久野が意識的に具体的な段階と方法を明確化し、異なる文化においてその実施した。独自性と普及の限界を解明し、十分に課題を解明できた。その意味では順調に進展している。授業分析や研究の手法については、その成果を国際・国内学会で発表し、学部紀要で公表しているように十分な進展を見せている。 到達目標として、全国の代表的な授業研究の事例を発掘することを掲げたが、網羅的に全体的に収集は出来ていない。また、授業研究の基礎となった授業記録とその映像までを収集することは出来ていない。初年度の継続調査研究として平成27年度も継続的に発掘する必要がある。しかしながら、研究の基盤としての資料は十分に収集している。 到達目標は十分には達成されていないが、重点研究は達成されているので、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には、到達目標であった代表的な授業研究の具体事例をさらに収集にその資料を共有するために冊子を作成し、その特徴と理論的背景を明らかにする基盤を形成する。 平成27年度の重点研究「類似した教材による授業研究を相互に、別な文化の教員が視聴し、分析することによって、その同一性と差異を明らかにするという手法により、それぞれの授業研究が背景に有している授業観、テーチング・スクリップトやメンタルモデルを解明する研究」は、十分な成果が平成26年度に得られたので、他の国の文化を背景にもつ研究者・学校教員の協力により、メンタルモデルの解明を深めたい。 平成27年度には算数、国語科、社会科など教科の教材開発の独自性および授業研究の特徴を解明に樹点を当てて研究を推進する。 それぞれの成果を、日本カリキュラム学会、およびWALS(中国で開催決定)など国際・国内学会で発表し、紀要等で成果を公表する。
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Causes of Carryover |
本研究は分担者が16名で構成されている。それぞれの未使用が3千円、6千円、15千円、20千円、そして最大80千円となっていて、その未使用額が355千円となっている。そも理由は残額が少なく旅費等有効な使用には不足したことが大きな理由である。また6万円以上を繰り越した2名は年度末の予定に出張等の予定を組み入れることが出来なかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの残の30万円は、通常の平均的な配分では出席できなかった国際学会発表の経費とする。2015年11月にタイで開催されるWALSの国際学会の発表に2名を派遣する予定である。補助金を繰り越した額は返還する。
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Research Products
(11 results)