2014 Fiscal Year Annual Research Report
多世界パラダイムに基づくわり算概念の構成過程に関する理論的・実際的研究
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26285205
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Research Institution | International Pacific University |
Principal Investigator |
中原 忠男 環太平洋大学, 教育学部, 教授 (90034818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 正和 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (40303193)
山口 武志 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (60239895)
影山 和也 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60432283)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 算数教育 / わり算 / 構成主義 / 社会文化主義 / 相互作用主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の主たる課題は「わり算概念の構成過程の調査問題の開発」であった。これについて、次のように取り組んだ。 1.算数科において構成すべきわり算概念の全体像の整理:これについては、学習指導要領及び各社の教科書等を分析検討して,本研究におけるわり算概念の全体像を以下のようにした。(1)整数における等分除・包含除の理解 (2)等分除概念の小数・分数への拡張 (3)包含除概念の小数・分数への拡張 (4)倍場面におけるわり算概念の理解。これに基づいで、わり算の計算並びに割合を用いた比の三用法は研究対象としないこととした。 2.3つの主義に基づくわり算概念の構成過程の特色づけ:社会文化主義は主として整数の等分除・包含徐の形成に、相互作用主義は等分除・包含徐の拡張の際、構成主義はすべてにおいて大きく関わることを指摘した。また、整数の等分除・包含除の形成の際にいろいろな暗黙のモデルが形成され、それによりその拡張の際に原型現象がみられること、それを乗り越えて如何に概念変容を導くかが重要であることなどを先行研究、これまでの授業実践等により指摘した。 3.学力調査、TIMSS等の調査結果に基づくわり算概念の実態分析:これにより、等分除・包含除の拡張、及び倍場面におけるわり算の適用問題に多くの誤りが生じていることを確認した。また、問題場面における「数値」「文脈」「図の有無」「キーワードの有無」が正答率に影響を与えることが示唆された。 4.わり算概念の構成過程を体系的に解明できる調査問題の開発:1~3における研究結果に基づいて、問題の質(等分除、包含除、その拡張、倍場面等)と問題の条件(数値、文脈、図、キーワード等)を視点として、調査問題を開発した。それらを5年生、6年生、中1年生を対象として調査することとして、それぞれをAセット・Bセットとして調査実施可能な形式に整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄に記した、1~4の研究課題は当初の計画に示しているものであり、平成26年度にそれらにおいて成果を上げ、最終的に,調査問題のセット化まで完了したので、研究は予定通りに進展している。予定以上とまでは言えないので、「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は当初の予定通りに進行しているので、今後も当初の計画に従って進めていく。具体的には平成27年度には次のような研究に取り組む。(1)開発した調査問題による予備調査の実施とその分析に基づく最終版の調査問題の作成 (2)最終版の調査問題による本調査の実施:これは岡山、広島、鹿児島において、4年生、5年生、6年生の指導内容を対象としてそれぞれ5年生、6年生、中学1年生を被験者として実施する。(3)調査結果の分析とわり算概念の構成過程の実態の解明:わり算概念の構成過程、とりわけ等分除・包含除の拡張場面におけわり算概念の変容・構成過程に着目して,その様相を解明する。 また、平成28年度においては27年度の研究成果を受けて,次のような研究に取り組む。(1)整数のわり算概念の授業とその分析:等分除・包含除の理解を深める授業づくり・実践とその分析、「小さい整数÷大きな整数」の理解を促す授業づくり・実践とその分析 (2)小数のわり算概念の授業とその分析:「整数÷小数」「小数÷小数」の授業づくり・実践とその分析 (3)分数のわり算概念の授業づくり・実践とその分析 以上の研究を踏まえて、最終的に「わり算概念を構成するより適切な授業原理を導出、構築していく。
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Causes of Carryover |
国内旅費についてJRの割引料金の利用ができたので残額が生じた。それは次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
わり算の調査において調査人数を多くしたことなどにより、調査問題の印刷費が予定より多くかかるので、それに充当する。
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Research Products
(2 results)