2015 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレント合成による高強度モノサイクル域トポロジカル光波の発生とその応用
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26286056
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森田 隆二 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30222350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 泰則 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00313106)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光渦 / 軸対称偏光 / コヒーレントビーム結合 / モノサイクル光パルス / 高性能レーザー / 位相特異性 / 偏光特異性 / 軌道角運動量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,いままで有効に利用されてこなかった光の持つ位相・偏光の空間的特異性・非一様性に着目し,申請者らが現在までに独自に開発したモノサイクル域光パルス発生・制御技術,さらには光波コヒーレント合成技術を用いることにより,1) モノサイクル域トポロジカル光波(光渦・偏光渦)の高強度発生を行うこと,2) モノサイクル域トポロジカル光波のビーム断面内強度・位相・偏光分布を自在に制御できる手法を確立すること,3) 上記,強度・位相・偏光分布制御技術を活かして物質との相互作用の極限時間域空間制御への応用を行うこと,である。本年度は以下の成果を得た。
1.従来のストークスパラメータを基盤として,(基本モードだけでなく)高次軸対称偏光モード(偏光渦)の円筒対称度,モード純度を定量的に表す指標(拡張ストークスパラメータ,拡張偏光度)を新たに提案し,その定式化を行った。 2. 高強度サイクル域光渦パルス発生技術を基に,ともに直線偏光の左回り光渦と右回り光渦のコヒーレントビーム合成技術を組み合わせることにより,超短・超高帯域軸対称偏光パルスの発生させ,そのパルスのスペクトル分解円筒対称度,モード純度を初めて定量的かつ高精度に評価した。その結果,本研究における超短光渦・偏光渦発生法が優れた方法であることを実証した。 3. 超短光渦パルスによる窒化ガリウムの時間分解非線型分光を実行し,その軌道角運動量分解四光波混合信号のダイナミクス測定を行った。窒化ガリウム励起子からの軌道角運動量分解四光波混合信号緩和の振る舞いにおける励起光渦トポロジカルチャージ依存性から,空間的不均一が信号に与える効果を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光渦および軸対称偏光モードを高精度に定量的に評価する方法を独自に考案し,その有用性を実証済みである。また,既に申請者らが有する高強度サイクル域光渦パルスを基に,ともに直線偏光の左回り光渦と右回り光渦のコヒーレントビーム合成技術を組み合わせることにより,超短・超高帯域軸対称偏光モードを発生させることに成功し,さらに上記評価法を適用して,発生させた軸対称モードの円筒対称性が高く,モード純度も高いことを,高精度に実証しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立させた,超広帯域トポロジカル光波のビーム断面内強度・位相・偏光分布の自在制御法および軌道角運動量,モード分布,偏光空間分布精密測定法を活かして以下を行う。発生させた超短光渦・偏光渦パルスの時間幅を可変にし,光渦パルスと金属と相互作用実験を行い,得られた構造の時間幅依存性から,相互作用メカニズムの解明をめざす。また,生成された強度・位相・偏光分布制御サイクル域トポロジカル光波を用いた半導体励起子励起による励起子時空間制御とその非線型分光を行うとともに,同生成光波によるマイクロ・ナノ粒子の超高速回転・マニピュレーションとそこからの回転ドップラー効果の検出を試みる。
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Research Products
(29 results)