2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26287009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
泉屋 周一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80127422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大本 亨 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20264400)
石川 剛郎 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50176161)
佐治 健太郎 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70451432)
高橋 雅朋 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80431302)
寺尾 宏明 北海道大学, 国際本部, 特任教授 (90119058)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ラグランジュ特異点 / グラフ型波面 / スピントロニクス / バンド交差 / カスプ辺 / Darboux枠 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度には、平成26年度に代表者によって得られた「ラグランジュ特異点のラグランジュ同値と対応するグラフ型波面のある種の同値関係が同じである」と言う事実をもとにして、グラフ型波面に対するより弱い同値関係の性質の研究を推進した。その結果、1974年頃にWassermannとJanichが関数の右左同値という概念を用いてラグランジュ特異点に関する結果の幾何学的意味を解釈する事に成功した。彼らの同値関係はラグランジュ同値より弱い同値関係で、その対応するシンプレクテイック幾何学的な意味付けが出来ないので、長らく放置されてきた結果であるが、その幾何学的意味をグラフ型波面の接触幾何学的意味を持つ同値関係で特徴付ける事に成功した。また、分担者である佐治健太郎および東京学芸大の竹内伸子と共同で、カスプ辺と呼ばれる特異点を持った曲面にDarboux枠と呼ばれる動標構を導入する事により、その微分幾何学的性質を研究した。この方法によれば、近年カスプ辺の標準形と呼ばれるものにより導入された3種類の基本的不変量が古典的微分幾何学の方法のみ似よって定めることができ、その事実から特殊な幾何学的性質をもつカスプ辺の特徴付け等の様々な結果が得られた。さらに、北海道大学電子科学研究所の寺本央の申し出により、スピントロニクスと呼ばれる10年ほど前から始まった、分野への特異点論の応用を行った。この分野は、特異点論が応用可能である事が従来は全く知られていない分野であり、またそこで使われる特異点論として新たな道具立てが必要となり、スピントロニクスと特異点論双方にとって重要な応用となると思われる。これらの研究成果やその他様々な特異点論と幾何学の成果を発表する場として、平成27年6月には、神戸大学と京都大学で国際研究集会を主催し、その補助として当科学研究費を使用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度の実績をもとに、順調に新たな事実を推進し、40年近く前に証明された事実の新たな再発掘を行い、ラグランジュ特異点論、波面の伝播理論に現れる様々な現象解明につながる結果をえたこと、さらにカスプ辺の微分幾何学的性質を解明した事など、当初より期待されていた内容について順調に研究成果を上げている。さらに、スピントロニクスへの応用と言う、当初では全く予想されなかった応用も発見され、当初の計画以上に研究成果が上げられていると思われる
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Strategy for Future Research Activity |
研究の推進方法は、基本的には27年度の方法を踏襲する。分担者と連携研究者に役割分担することにより双方の研究深化とお互いの研究打ち合わせによって、研究を推進する。国内外の関連する研究者と研究打ち合わせを通して、特異点論の更なる応用の可能性や知られている応用の深化を目指す。特に、スピントロニクスへの応用は27年度に発見されたばかりなので、とくにその方面の研究者との研究打ち合わせを強化する。また、この新たな応用分野へ、最近研究を開始した若い研究者や大学院生の参加を促し、より広範な研究推進を目指す。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、国際研究集会開催を計画していたため、平成26年度の未使用額を多めにして、主に国外からの研究集会参加者の滞在費用の補助にあてたが、使用金額が予想外に少なくてすんだため、142,628円が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、国際研究集会開催は予定していないが、通例の国内研究集会が6月と12月の2回開催される予定なので、その参加予定者の補助に廻す予定である。
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