2016 Fiscal Year Annual Research Report
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26287009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
泉屋 周一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任教授 (80127422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大本 亨 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20264400)
石川 剛郎 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50176161)
佐治 健太郎 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70451432)
高橋 雅朋 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80431302)
寺尾 宏明 北海道大学, 国際本部, 特任教授 (90119058)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 特異性 / 非線形現象 / バルクエッジ対応 / バンド交差 / ラグランジュ特異点 / ツバメの尾曲面 / 垂足曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度には平成27年度の終わり頃に開始したスピントロニクス及び光化学反応制御理論への応用を推進した。その結果、「バルクエッジ対応」と関連する研究が進展出来そうな事が次第に明らかになってきた。バルクエッジ対応が現れる場面では、量子力学的ハミルトニアンの固有値としてのエネルギー関数が交差する事がしられている。さらに、そのような点では、一般にエネルギー関数は微分可能ではなくなることも知られている。このような点をバンド交差点とよび、一番良く現れる場合が質量を持たないフェルミ粒子の場合であり、エネルギー関数が交差することが知られているデイラック錐と呼ばれる状況である。しかし、物質に圧力や熱などの外部力を加えるとこの状況が分岐する。代表者と寺本及びその他の共同研究者は、このエネルギー関数の交差とグラフの形状を保存する同値条件をパラメータに依存する量子力学的ハミルトニアンの集合に導入し分類結果を得た。さらに、研究代表者はこの同値関係が、40年ほど前にTougeronによって導入された、写像芽のG-同値に関連していることに気がつき、理論的枠組みの構成をおこなっている。一方、ラグランジュ特異点に関して、パラメータ付けられたラグランジュ同値関係についての分類理論を分担者の高橋と推進した。さらに、東京学芸大の竹内伸子とともに、空間内の垂足曲線の反転操作との関連を調べる研究に着手した。また、特異点を持つ典型的な曲面としてのツバメの尾曲面やその一般化の微分幾何学的性質について分担者の佐治とともに推進した。これらの研究成果やその他様々な特異点論と幾何学の成果を発表する場として、平成28年6月に開催された、青山大学や、12月の京都大学数理解析研究所での研究集会にて成果発表を行い、さらに研究打ち合わせとしてワルシャワ(ポーランド)とバレンシア(スペイン)を訪問した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度の実績をもとに順調に新たな事実の解明を推進し、特異点論の新たな応用の可能性を発見した。また、ラグランジュ特異点論においては従来不可能と目されていた、パラメータに依存したラグランジュ同値の変形理論を構成した。また前年度に挙げたカスプ辺に関する微分幾何学的性質に関する成果をより複雑なしかし典型的に現れるツバメの尾曲面の微分幾何学的性質の解明に拡張した事など、当初より期待された内容より、大きく進んだ研究成果をあげていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の推進方法は、基本的には28年度の方法を踏襲する。分担者と連携研究者双方の研究深化とお互いの「研究打ち合わせによって、研究を推進し、さらに国内外の関連する研究者と研究打ち合わせを通して、特異点論の更なる応用を推進する。また最終年度なので、関連する国内外の研究集会で積極的に成果発表をおこないこの分野の今後の研究発展の可能性を探る。また、今年度は、「トポロジカル絶縁体」や「光化学反応の制御理論」への応用を重点目標として、諸分野に置ける関連研究者を集めて、セミナー、勉強会、研究集会等を開催し研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、国内の2カ所以上の研究集会への補助を予定していたが、一つの研究集会への補助は別基金からの補助が可能となったため、使用金額が予想外に少なくなり、220,016円の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、国外で3カ所の国際研究集会を開催または開催補助を行う予定であり、その為の参加費および、参加者の補助に廻す予定である。
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Research Products
(14 results)