2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26288021
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| Research Institution | University of Tsukuba |
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Principal Investigator |
二瓶 雅之 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (00359572)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 金属多核錯体 / ナノ材料 / エネルギー伝達 / 双安定性 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、弱い相互作用を介して金属多核錯体を連結することにより、生体系における重要な要素技術である情報(電子状態、磁性)やエネルギーを高効率に伝達可能なシステムを構築することを目的とする。
平成27年度は、双安定性環状四核錯体を水素結合ドナー(HBD = Hydrogen Bond Donor)を用いて連結した低次元集積系の物性について検討した。温度変化に伴う構造と電子状態変化について詳細に検討した結果、双安定性分子間の水素結合強度が双安定性分子の電子状態と連動して変化することを見出し、水素結合様式の変化に伴う多重安定性の発現を達成した（投稿準備中）。一方問題点として、このような集積系において水素結合中におけるプロトンのダイナミクスを発現させることが困難なことがわかってきた。そこで新たに、双安定性環状四核錯体のモノプロトン付加体の単離・結晶化を試みた結果、環状四核錯体が一つのプロトンで架橋された一次元集積系を得ることに成功した。この集積系における水素結合距離は約2.5オングストロームであり、プロトン移動のエネルギー障壁が極めて小さいことが示唆された。今後は、プロトン架橋集積系におけるプロトンダイナミクスについて詳細に明らかにする予定である。
一方、高効率エネルギー移動系の素子となる発光性リング型多核錯体の合成についても研究を進めた。具体的には、二つのジアセチルベンゼンが配位し単核白金錯体を原料とし、園頭カップリングによる集積化を検討した結果、反応条件を最適化することでジアセチルベンゼン架橋リング型白金四核錯体を得ることに成功した。興味深いことに、本錯体は環状構造の中央で様々なゲスト分子を安定に包接可能であることがわかってきた。今後は、リング型白金四核錯体の光物性について詳細に明らかにするとともに、ホストゲスト相互作用を介したリング型錯体の低次元集積化について検討する。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロトニックソリトン系の開発については、双安定性環状四核錯体を水素結合で連結した低次元集積系において、四核錯体の電子状態と水素結合強度の動的連動性を見出すとともに、プロトン移動のエネルギー障壁の極めて小さい集積系を構築することにも成功した。また、エネルギー移動系の構築素子となる新規環状白金四核錯体の合成にも成功した。これらの結果は情報・エネルギー伝達系構築の鍵となるものであり、着実に研究が進展していると考えられる。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、環状四核錯体が一つのプロトンで架橋された一次元集積系におけるプロトンダイナミクスについて詳細に明らかにする予定である。具体的には、温度可変赤外分光法、Ｘ線構造解析を駆使して水素結合中におけるプロトンの位置や状態を明らかにするとともに周波数可変誘電測定によりプロトン移動の緩和速度を精密に評価し、プロトン移動に伴う活性化障壁などの低エネルギープロトン移動の可能性について詳細に明らかにする。また、発光性リング型白金四核錯体については、その発光特性や励起状態寿命などについて各種分光学的手法により詳細に明らかにする。また、白金四核錯体とアルキルアンモニウムイオンやフラーレンとの会合挙動について詳細に検討し、ホストゲスト相互作用を利用した低次元集積形を構築することで、高効率エネルギー移動系への展開を図る。
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| Causes of Carryover |
水素結合架橋低次元集積系のプロトンダイナミクスを明らかにするための測定システム構築のための予算を計上していたが、発光性リング型多核錯体の合成が順調に進み、それらの構造・物性解明に注力した為、プロトンダイナミクス測定システム構築に要する費用を次年度に計上することとした。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
プロトンダイナミクス測定システムの構築のために、特殊測定セルやセルアダプター、温度可変装置の周辺機器などの消耗品の購入費用として使用する。
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[Presentation] 外場応答性多核錯体の創出2015
Author(s)
二瓶雅之
Organizer
西原先生還暦記念講演会「深化する錯体化学」
Place of Presentation
ルポール麹町(東京都千代田区)
Year and Date
2015-06-20 – 2015-06-20
Invited
