2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ空間熱探査によるカーボン材料の多次元熱伝導評価
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26289047
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 厚史 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10243924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 仁 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (40505434)
生田 竜也 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 技術専門職員 (70532331)
西山 貴史 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80363381)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノマイクロ熱工学 / 熱伝導率 / ナノセンサ / 集束イオンビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、これまで扱ってきた多層カーボンナノチューブ(MWNT)とは別の試料として、カーボンナノファイバー(CNF)について詳しく調べた。MWNTと同様に集束イオンビーム(FIB)をCNFへ照射しながらそのCNFの熱コンダクタンスの計測を行って熱輸送の弾道性を調べた。具体的には、長さ5ミクロンのCNF試料の端から距離1ミクロン毎に100nm程度のアモルファス化された局所的欠陥を数か所与えて、CNF試料を分断させた状態にして熱伝導率が試料の長さに依存するかどうか調べたところ、結論としてはそのような長さ依存性すなわちフォノンの弾道性は無いことが確認できた。これはMWNTに比べてCNFのフォノンの平均自由行程が短いことに起因するもので妥当な結果であると考えている。ただし、一連の実験を通して、5ミクロン以上離れている場所を照射するFIBであっても白金のホットフィルムセンサに影響を与えることがわかり、FIBを用いて構造を変化させながら熱輸送を調べる実験系においては離れたFIB照射の影響を補正する必要があるという重要な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属ナノ粒子を用いたナノスケールでの温度分布の可視化技術に関しては今年度に限っては大きな進展があったとは言えないが、もう一つの課題であるFIBを用いた構造の変化に関しては重要な成果が得られた。それは、離れた場所でのFIB照射の影響を定量的に補正する技術を確立したことであり、総じて順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの2年間の結果から、カーボン系材料の基本構造の一つであるグラフェンの熱輸送を定量的かつ系統的に調べることが最終目的に近づくには不可欠だと考えられる。そこで、グラフェンの形状、接触状態、不純物や欠陥などを変化させながら熱輸送を計測することを計画している。その結果をこれまでの多層カーボンナノチューブやカーボンナノファイバの結果と比較して考察を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた液中レーザーアブレーションがレーザーの故障等により中断しているために次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
温度分布測定に適したナノ粒子生成法としての液中システムにこだわることはやめて、本研究の主目的であるカーボン系材料の熱輸送に関する学理の構築にとって最も重要と考えられるグラフェンの研究へリソースを注ぐこととする。
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Research Products
(12 results)