2014 Fiscal Year Annual Research Report
透視技術を核としたコンクリート構造物の革新的検査・健全度診断法の開発
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26289133
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉山 隆文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70261865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志村 和紀 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60187474)
ヘンリー マイケル・ワード 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80586371)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 土木材料 / 長寿命化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、透視化が有望なX線CT法の実用化を優先しながら、荷重によるひび割れ、通水作用による水和物の変質、凍結融解の繰り返しによる劣化や変質、鉄筋腐食挙動について調べることを目的とした。実現象を忠実に再現するように実験装置を工夫してひび割れと通水用供試体を作製して、大型放射光施設の白色X線を用いた非破壊CT-XRD連成法の適用性を研究した。取得した多量なデータを処理するための手法を効率化する演算処理技術を研究して、投影像の再構成における中心軸決定法、規格化手法、擬像処理と再構成関数の同定、逆投影法、X線吸収係数分布図の取得、輝度分布による閾値決定における既存技術を高度化した。また、水和物組織の結晶を同定するためにX線回折について、角度変換およびエネルギー変換を通して、回折結果の妥当性を調べた。その結果、長期通水作用によって、ポルトランダイトの消滅を確認した。また、ひび割れ部への二酸化ガス注入による炭酸化は確認することができていないが、通水作用が長期化するとひび割れ部にカルサイトが存在することを明らかにした。通水試験は室内実験として継続しており、次年度も引き続き観察していく。 高速道路RC床版のひび割れと鉄筋腐食挙動についての関連性を研究した。透視技術の診断技術への応用を念頭に、直径3cmのコアを実構造物から切り出したRC床版から採取して、X線CT法を適用した。厚さ20cm程度の床版における貫通・非貫通ひび割れの透視化を試行した。また、ひび割れの3次元立体画像の作製するために、既存ソフトであるImageJおよびX線CT研究会で開発された画像解析技術(Slice)を適宜改良しながらこれらの利用技術を発展させた。ひび割れと接するように気泡が存在しており、ひび割れ空間容積に及ぼす気泡の影響を除去する画像処理法を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期に及ぶコンクリート構造物の劣化診断法として、現象把握のための室内短期間実験から、ひび割れの可視化と通水作用による水和物の変質をマイクロメートルオーダーで調べ、さらに実構造物RC床版のひび割れの可視化を達成するなど、研究が順調に進展している。今後は凍害による劣化も関連させて、複合した劣化作用下の物理性状と化学性状の経時変化を合理的に調べる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られた結果を基にして、劣化・損傷したセメント硬化体の作製にあたって、サンプルとしての合理性や妥当性を評価して、該当年度の試料作製へフィードバックする。すなわち、荷重作用や気象環境作用のレベルを考慮して、必要に応じて再度ひび割れや水和物の変質を再現して各測定を行う。前年度と同様、荷重によるひび割れ、通水作用による水和物の変質を対象に、新たに凍結融解の繰り返しによるスケーリングやひび割れと水和物分解を測定対象に加える。また、本研究課題の特長である時間軸評価の導入を具現化するために、前年度測定に供した試料を、実験室内で継続処置を行い劣化、損傷や変質の継時変化を調べる。試料のスケールアップを図るために、別機関のCTスキャンの利用を引き続き計画、実行する。 蓄積したデータや新たに取得したデータを効率的に処理するための手法として、再構成における中心軸決定法、規格化手法、擬像処理と再構成関数の同定、逆投影法、X線吸収係数分布図の取得、輝度分布による閾値決定法を引き続き研究する。また、非破壊CT-XRD連成法の研究開発の進捗状況を勘案しつつ、本研究課題への応用研究を継続して行うために、大型放射光施設のビームライン利用を申請する。 画像解析に基づく組織構造解析の手法を引き続き研究して、透視画像データの劣化予測モデル(SiTraM)への受け渡しの研究を継続して行う。 積極的に国内外で研究内容を発信する。
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Causes of Carryover |
物品費として計上していたSiTraMの更新については、入力情報を工夫することで適用可能と判断して更新していない。また、恒温試験装置は試験体の形状を小型化することで導入を回避できたため購入していない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究が進める透視技術は独創性の高い手法であるとの認識から、国内外への積極的な研究内容の発信が必要と考えられることや、大型放射光施設の測定機会が増加しておりそのための関連旅費へ振り分ける。
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