2015 Fiscal Year Annual Research Report
透視技術を核としたコンクリート構造物の革新的検査・健全度診断法の開発
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26289133
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉山 隆文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70261865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志村 和紀 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60187474)
ヘンリー マイケル・ワード 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80586371)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 土木材料 / 長寿命化 / 透視技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
透視技術としてX線CT法に着目して、コンクリート構造物の損傷と劣化を可視化する技術を研究開発している。今年度の大きな成果の一つは、鉄筋コンクリート部材を供試体として作製して、コンクリート内部の鉄筋を抽出することに成功した。異型鉄筋の節やリブが明確に画像化できた。これは、日本コンクリート工学会が主催するコンクリート工学年次大会(2016)(福岡)で発表予定である。 経年劣化した道路橋RC床版の下面よりコンクリートコアを採取して、ひび割れ状況と塩化物イオンの浸透性について調べた。これまで困難であった内部ひび割れの長さおよびその幅の分布を定量化して、塩化物イオン濃度との関係を調べた。塩化物イオンは、ひび割れ長さが増加するとその浸透距離は増加することを明らかにして、ひび割れ幅よりも長さが内部浸透には影響が大きいことを示した。これらはカナダで開催された国際会議:2nd International Conference on Tomography of materials and Structures (ICTMS 2015)において発表された。 実環境を模擬して炭酸化作用と通水作用を受けたセメントペーストの変質現象の解明を目的に、非破壊CT-XRD連成法を用いた微視的機構を研究した。初期の炭酸ガス注入では十分な炭酸化は生じないことや、短期間の通水作用で水酸化カルシウムは溶脱すること、通水作用を継続することでひび割れ周辺でカルサイトが生成することを明らかにした。これは、第69回セメント技術大会(東京)で発表し、コンクリート工学年次大会(2016)(福岡)で発表予定である。また、凍結融解作用による劣化損傷の機構解明のために、実構造物からコンクリートコアを採取して、気泡やひび割れを含めた空隙、骨材、モルタルの3相を分離抽出し、これらを3次元で可視化する透視技術を深化することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンクリート構造物の診断に欠かせないコンクリート内部の鉄筋の透視に成功したことは、本研究の大きな成果である。これにより鉄筋腐食、鉄筋周囲のひび割れ状況を透視できる可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄筋コンクリート部材を主体として、コンクリートと鉄筋の相互作用による劣化や損傷の現象を解明する。また、引き続き非破壊CT-XRD連成法のセメント系材料への適用性を調べることで、微視的機構の解明によるコンクリート構造物の劣化や損傷を明らかにする。
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Causes of Carryover |
初年度に実施した実験内容を発展させて研究を行ったために、新たな機器、装置等への出費を抑制できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内、国外発表を進めるとともに、新たな実験供試体作製や機器装置の購入を計画する。
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