2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26289264
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
土田 紀之 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90382259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Stefanus Harjo 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (40391263)
友田 陽 茨城大学, その他部局等, 名誉教授 (90007782)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 強度 / 鉄鋼材料 / TRIP効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度の研究実績について,以下の3点を挙げる. 1. TRIP型複合組織鋼と準安定オーステナイト鋼であるSUS304を用いて,様々な荷重条件(計15条件以上)での荷重一定クリープ試験の実験データを取得した.さらに,荷重一定クリープ試験時の加工誘起変態挙動についても,一通りのデータを得ることができた. 2.TRIP型複合組織鋼については,引張試験中に試験温度を変化させる実験を行うことで,本研究課題の一番の目的であった「常温引張時の1.5倍の延性の達成」を実現することができた.さらに本実験については,実験結果の再現性についても確認実験を行った. 3. TRIP鋼の変形挙動の中身を調査するための,引張変形中のその場中性子回折実験結果については,これまでの実験結果を整理し,引張変形中の加工誘起変態挙動は勿論のこと,相間や結晶粒間の変形挙動についてもデータ解析を行った.得られた結果は,学会発表を行うとともに,論文にまとめる作業も進めており,近く投稿予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験については,常温での荷重一定クリープ試験や,試験中に温度を変える引張試験,SEMによる組織観察を継続して進めることができ,一部については目標達成も実現できた.今後は,得られた実験結果を考察するための追加実験や,計算からのアプローチも引き続き進める計画である. 得られた結果については,学会発表による成果発表を複数回行った.本課題は,今年で3年目であり,今後は成果をまとめた論文の投稿を2,3報進めることがH28年度以降の重点課題として位置づけている.
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Strategy for Future Research Activity |
1.【試験中に温度を変える引張試験】本実験により,本課題の目的でもある常温引張時の1.5倍の延性の達成を実現することができた.今後は,この時の加工誘起変態挙動をはじめとする,最大限のTRIP効果を実現可能とする「条件」について,追加実験も行いつつ考察を進める. 2.【荷重一定クリープ試験】 様々な荷重条件での基礎実験データを整理することで,引張試験結果とは応力-ひずみ関係や加工誘起変態挙動が異なることが明らかとなった.今後は,その理由を明らかにすべく,考察を進める.具体的には,荷重一定条件で保持した際の(荷重一定クリープ試験と同じ状態での)その場中性子回折実験を行う計画である. 3.【引張変形中のその場中性子回折実験】常温での実験は,内容を整理し,今年度中の論文投稿を計画する.今後はさらに,低温でのその場中性子回折実験を行い,引張変形挙動の温度依存性について検討を進める. 以上3点より研究を進め,目的である最大限TRIP効果を発現できる条件(常温引張時の1.5倍の延性の達成)を明らかにするべく,引き続き研究を推進する.
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