2014 Fiscal Year Annual Research Report
強摂動環境を積極的に利用した探査工学―アストロダイナミクスへの学際的アプローチ
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26289325
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
津田 雄一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (50370101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 孝尚 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (10415903)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 誘導 / 航法 / 制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,はやぶさ運用で培った,小惑星まわりの姿勢・軌道運動モデルおよび,IKAROSで開発した太陽光圧下の軌道運動モデルをベースとした,基礎理論およびできる限り基本原理に忠実な詳細モデルの計算機上への構築を行った. モデル化を効率よく行うため,一部ソフトウェアメーカーの力を借りて,探査機の航法情報データベースを構築した. また,本研究にて,光圧を積極的に利用した新たな姿勢制御法を考案し,その理論構築を行った.さらに,IKAROS・はやぶさ2の運用データを使った基礎的な数値評価を行い,ダイナミクスの基礎的な妥当性を確認した. また,微小重力・強太陽光圧下の誘導制御について理論展開し,リーズナブルな増速制御で安定性を担保できる小惑星周りの新たな誘導法を考案した. また,強摂動下の探査技術をテーマとした小規模の研究会を4回開催し,問題意識の共有と本研究の発展性,今後の研究指針に関するディスカッションを行った. なお,本年度は連携研究者として以下の方々が本研究に参加した.◆照井冬人(独立行政法人宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 主幹研究員 研究者番号80358522),◆三桝裕也(独立行政法人宇宙航空研究開発機構 月惑星探査プログラムグループ 宇宙航空プロジェクト研究員 研究者番号90611707),◆尾川順子 (独立行政法人宇宙航空研究開発機構 月惑星探査プログラムグループ 研究員 研究者番号10523813)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度の当初計画を進める上でのキーポイントは,強摂動環境を積極的に利用した新たな航法・誘導手法の案出であったが,①太陽光圧を積極的に利用した姿勢制御,②微小重力・強太陽光圧下の誘導 という今後の宇宙探査ミッションに有用と考えられる新手法の芽が見えてきた.これにより,次年度以降の計画が立てやすくなった.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に理論構築した,①太陽光圧を積極的に利用した姿勢制御,②微小重力・強太陽光圧下の誘導 を発展させる.特に②については「小天体まわりでの誘導航法」「小天体周回軌道」というテーマ自身は既に多く取り扱われているものであるが,当研究では,強摂動の積極的な利用と,我々の過去の運用実績に根差した実用手法を目指すことに留意して検討を進める. ①②ともに,前年度の活動で基礎理論の構築を行った誘導航法手法および軌道設計手法に対し,同じく前年度の活動で構築した計算機上の詳細モデルを利用し試行錯誤により洗練させ,誘導航法手法および軌道設計手法の設計パラメータの抽出と,最適パラメータの導出を行う.はやぶさ・IKAROS・はやぶさ2の運用・開発実績を活用するために,それらのミッションの実運用データや実設計データを,誘導航法・軌道設計に取り込むための,データ処理およびソフトウェア開発(前年度開発したものの改良)を行う. 当年度も,アストロダイナミクス研究者を集めた研究会を開催するほか,当年度末期に,誘導航法手法・周回軌道設計手法の構築および性能評価結果について,国際学会で発表する.
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Causes of Carryover |
本年度の計画の一つであったソフトウェア開発(解析ツールの基礎部分の開発)につき,ソフトウェアメーカとの調整の結果,年度ごとの資金使用プロファイルに変更が生じたため. また,研究会および学会発表に見込んでいた海外旅費につき,国内発表へ切り替えたこと等により不要となったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
変更後のソフトウェア開発の資金プロファイルに従った開発計画に基づき使用する. また,学会発表のための旅費として,適切なタイミングで引き続き有効に利用する.
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