2015 Fiscal Year Annual Research Report
無方向性を有する海洋観測用水中グライダーの運動制御と実海域試験
Project/Area Number |
26289335
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 昌彦 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (40155859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 健一 長崎大学, 水産学部, 准教授 (20533946)
梶原 宏之 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30114862)
小寺山 亘 九州大学, 応用力学研究所, 名誉教授 (80038562)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 円盤型水中グライダー / 運動制御 / 模型実験 / 実海域試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球規模における環境変化の予測、環境保全に関する研究を行うためには地球環境に大きな影響を及ぼすと考えられる海域の時間的・空間的な観測データを低コストで取得する必要があり、従来の係留ラインによる観測に代わる画期的な手法として、水中グライダーの使用が考えられる。さらに、定海域に留まらなければならない事を考えると、あらゆる方向に旋回することなく滑空可能な無方向性を有する機体形状が望ましい。ところが無方向性ゆえに機体の回転に対する抗力が非常に小さく、正確な針路を維持するためには運動制御に特別な工夫が必要となる。そこで、本研究では、機体の回転抑制方法と運動制御方法についてシミュレーション・模型試験・実海域試験により検討を行い、無方向性を有する水中グライダーによる良好な定点観測を実現する。27年度は研究計画に基づき、(1)高度な運動制御方法の検討、高度な制御方法を実機に実装するためのCPU演算処理能力の向上、ビークルの回転抗力増大装置の検討、(2)水槽における模型試験、(3)実海域試験を行った。 (1)では多入力多出力系コントローラーの検討を行い、実機に実装するために実機CPUを変更し、演算処理能力の増大を図った。また、回転抗力増大装置を3Dキャドで設計し、CFDにより流体力を計算のビークルの運動シミュレーションを行った。 (2)では回転抗力増大装置を模型に取り付け、PIDコントローラーによる方位維持制御、外乱抑制制御試験を行った。また、運動シミュレーション、模型試験を繰り返すことにより、抗力増大装置の最適形状の検討、PIDゲインの最適化を図った。 (3)では模型試験で性能が確認されたPIDコントローラーを実機に実装し、実海域試験により方位保持性能の検討を行った。また、五島西方沖水深95mの海域において、実際の海洋観測を行い、ビークルの性能を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では回転抗力増大装置についてCFDにより流体力を計算し最適化を図るだけであったが、得られた流体力を使用して運動シミュレーションを行い、性能の検討を行った。さらに、水槽において模型試験を行い、性能の確認、方位維持制御への貢献度の検討、外乱に対する貢献度の検討を行うことができた。また、実海域試験では当初PIDコントローラーを実装し、方位維持試験を行う計画だけであったが、実際の海洋観測を行い、ビークルの電力消費などの総合性能が確認できた。以上により研究は当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は研究の最終年度であるため、多入力多出力系の高性能コントローラーを設計し、水槽で模型により性能を確認の上実機に実装し、実海域試験を行う予定である。
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Research Products
(7 results)