2014 Fiscal Year Annual Research Report
核融合炉事故シーケンスに照らした放射化ダストハザード研究
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26289355
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横峯 健彦 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40240204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
功刀 資彰 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40301832)
河原 全作 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (10201451)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 核融合炉安全性 / 放射化ダスト / モビリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、核融合炉安全性解析に関して不確定要素の一つとなっている核融合炉内で生成、放射化されたダストのソースタームの評価法の確立である。特に、本研究では、事故シーケンスに沿った条件で、ダストの炉外放出の機構を明らかにすることを第一義的な目標とする。本研究では、ダスト群の流動不安定性による濃度・温度分布変化および水蒸気を伴うダスト群の挙動に着目し、実験によりシーケンス毎の爆発危険性を予測・評価するためのデータベースおよび物理モデルを構築する。本年度は、“非湿潤状況での破断口近傍のダスト群挙動の解析”を以下の計画に基づく研究を行う。 1.実験装置の改造:(1)(計画)申請者が先行研究で用いた、真空境界破断事象(LOVA)を模擬したダスト挙動実験装置を本研究の目的に応じて改造を行う。本研究では、真空容器内部からのダスト流出を想定するため、真空容器内部に粒子供給部を設置する。:(2)(実績)計画に従って装置に改造を施した。また、下記2.で用いる壁面せん断応力測定装置を新たに製作した。 2.真空境界破断時のダスト挙動測定:(1)(計画)上述の装置改造を施した後、非湿潤状態での各事故シーケンスに関する真空境界破断時のダスト挙動の測定を行う。測定には、高速度赤外線カメラを用いて測定する。この実験は、次年度中期にわたって行う。(2)(実績)当初計画では、高速度赤外線カメラによりダスト飛散時の温度分布測定を計画していたが、予算削減に伴い、温度測定には通常の赤外線カメラを使用し、ダスト飛散時の流体挙動の詳細測定に重きを置くこととした。ダスト飛散モデル化には、ダストが同伴される気流の挙動把握が重要である。特に壁に付着しているダストの挙動は、気流の壁面でのせん断応力が大きく影響するため、予測される衝突噴流型流れ場の壁面せん断応力を応力感応液晶を用いて測定した。これらの実験データはこれまでにない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的1.既存の実験装置の改造に関しては、おおむね改造が終了し、また、ダスト飛散モデル化に重要な真空破断時の気流、特に壁面でのせん断応力測定装置を新たに製作した。 研究目的2.真空境界破断時のダスト挙動測定に関しては、当初より平成27年度中期までを計画していたため、現時点ではおおむね順調に進展している。当初計画では、高速度赤外線カメラによりダスト飛散時の温度分布測定を計画していたが、予算削減に伴い、温度分布測定は既有の赤外線カメラにより測定することとした。それに代わり、第一義の目的であるダスト飛散モデルに重要な気流の壁面挙動、特に壁面せん断応力の測定を行うこととした。この変更は本来の研究目的を変更するものではない。これまで壁面近傍の気流測定は多くあるが、ダストは壁面に付着するものであり、本来は壁面のせん断応力が重要となる。そのため、応力感応液晶を用いて、真空破断時に予測される流れ形態(非一様流れ場)における壁面せん断応力を測定した。これまでに非一様流れ場における壁面せん断応力測定の例はない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度から開始した非湿潤状況での真空境界破断時のダスト挙動測定を当初計画とおり、平成27年度中期まで行う。具体的には、壁面せん断応力を測定した後、高速度カメラと赤外線カメラを用いて、真空破断時に予測される気流流れ場に対するダスト(群)のmobilityを測定しモデル化を行う。 その後、蒸気を伴う真空境界破断時のダスト挙動測定を行う。この課題に関しては、平成28年度中期まで行う計画である。 現在のところ、当初計画に対して大きな遅延、逸脱はないため、予定通りに研究を推進する。
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Causes of Carryover |
当初計画では、高速度赤外線カメラによりダスト飛散時の温度分布測定を計画していたが、予算削減に伴い、温度分布測定は既有の赤外線カメラにより測定することとした。それに代わり、第一義の目的であるダスト飛散モデルに重要な気流の壁面挙動、特に壁面せん断応力の測定を行うこととしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度中期~次々年度中期に計画の湿潤雰囲気ダスト飛散挙動解析の実験装置の測定系の高度化に用いる。これにより、高濃度ダスト系測定が可能になり、本研究の目的であるモデル化の精緻化が図れる。
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