2014 Fiscal Year Annual Research Report
複合的構造解析による膜内プロテアーゼRsePの膜内・膜外での基質認識機構の解明
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26291016
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
禾 晃和 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 准教授 (40379102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 毅 大阪大学, たんぱく質研究所, 講師 (90403013)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蛋白質 / シグナル伝達 / 酵素 / 膜蛋白質 / 立体構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、結晶構造の決定を目指して、結晶化条件の最適化を重点的に行い、結晶化試薬の組成と結晶の形状の関係を詳細に調べた。様々な形状の結晶を凍結し、放射光施設においてX線回折実験を行ったが、分解能の顕著な向上は見られなかった。分解能が向上しないことの理由に、蛋白質試料の純度と安定性が十分に高くないことが考えられたため、蛋白質試料の調製方法を抜本的に見直すこととした。その結果、発現量については大きな改善は見られなかったものの、性状が顕著に改善された蛋白質試料が得られるようになった。安定性の高い試料は、構造解析だけでなく、機能解析においても有効活用できるものと期待される。 また、固体NMR法による構造解析については、基質膜蛋白質試料を化学合成によって調製し、膜に再構成して予備的な測定を行ったところ、基質膜蛋白質が脂質二重層に正常に組み込まれていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
精製条件の改良の結果、従来に比べて格段に安定な蛋白質試料が得られるようになった。この成果によって、より良質の結晶が得られるようになることが期待されるだけなく、活性測定や相互作用解析を初めとした機能解析についても、より信頼度の高いデータが得られるようになることが期待される。 また、固体NMR法についても、疎水性が高い基質ペプチドの合成を迅速に完了しただけでなく、脂質二重層に組み込むことにも成功しており、今後の構造解析に向けた準備が早くも整った状態にある。 以上のような状況を考慮し、本研究課題は、当初の予想以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究によって確立した新規の精製手法によって得られる高品質の蛋白質試料を活用することで、出来るだけ早く構造解析に使用可能な単結晶を作製したいと考える。結晶の品質の改良においては、抗体Fab断片の結合による目的蛋白質のさらなる安定化なども視野に入れ、条件検討を進めていきたいと考える。 固体NMR法による構造解析については、本年度の予備的な実験結果に基づいて、まず基質単独の状態での構造情報を収集していくことを計画している。そして、複合体の状態での構造解析に向けて、試料調製やデータ収集の条件の最適化を進めていきたいと考える。
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Causes of Carryover |
X線結晶構造解析における研究で、当初得られていた結晶から十分なデータが得られず、新規の精製手法の検討を行ったため、研究費使用計画を変更するに至った。条件検討の結果、良質の蛋白質試料が得られるようになり、研究自体には進展が見られている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに得られた蛋白質試料を用いて、再度結晶化とX線回折データの収集などに取り組んで行く予定である。回折実験を頻繁に行うためには、大量培養も頻繁に行う必要があり、初年度に使用しなかった研究費をこれに当てたい。回折実験は、放射光施設でしか行うことができないため、そのための出張費にも使用する予定である。また、さらなる結晶性の改善を目指して、発現コンストラクトの改変にも取り組んで行く予定であるため、遺伝子操作のための器具・消耗品にも使用する予定である。
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Research Products
(6 results)