2016 Fiscal Year Annual Research Report
Function and dynamics of stress-induced lncRNA
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26291018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 邦史 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90211789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 貴司 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80415231)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ノンコーディングRNA / lncRNA / クロマチン / 転写制御 / ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトゲノムの大半を占める領域から合成される長鎖非コードRNA(lncRNA)について、代謝ストレス応答性lncRNA(mlonRNA)、およびそれに付随するアンチセンスRNA(asRNA)の機能を、分裂酵母や哺乳類細胞を用いて解析した。
①これまでに分裂酵母のグルコース飢餓に対するストレス遺伝子(fbp1など)の一部に、センス鎖lncRNAを介した遺伝子発現のポジティブフィードバック制御があることを見出した。これらの遺伝子の上流から合成されるmlonRNAは微弱ではあるものの、ストレス特異的な反応を示すことが多い。実際、fbp1などグルコース飢餓時に特異的に発現する遺伝子において、他のストレス(高浸透圧、高イオン濃度など)下では、mlonRNAの発現が大幅に低減していた。一方、ストレス遺伝子上流域で強制的かつ恒常的にmlonRNAを発現する実験を行ったところ、どのようなストレス種下においても、ストレス遺伝子上流の転写因子結合が顕著に促進することがわかった。この結果から、mlonRNAの発現がストレス種特異的な遺伝子発現を補強することが示唆された。 ②分裂酵母mlonRNAの相補鎖から生成されるasRNAについて、一分子RNA FISHなどを実施して、その細胞質局在や確率的発現を確認した。また、asRNAが、細胞質においてリボソームと結合し、ナンセンス仲介分解(NMD)経路によって急速に分解されることを示した。さらに、既存のリボソームプロファイリング・データを用いて、リボソーム結合部位を推定した。 ③経代培養回数が少ないマウス膵β細胞株MIN6の細胞株を導入し、低グルコース条件下で発現誘導される遺伝子やlncRNAの探索を行い、複数の候補遺伝子群を同定した。これらの遺伝子領域については、ノザン解析を実施し、分裂酵母で見られたmlonRNAと同様のlncRNAを複数種明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分裂酵母の解析結果は、今年度も論文発表を行った。現在、さらに興味深い結果が得られつつあるので、研究期間を1年延長して論文発表を行う予定である。マウス細胞の解析に関しては、細胞株の見直しにより、当初目的としていた類縁lncRNAの同定がほぼ成功し、論文準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度は1年間期間延長を行い、得られた成果の再現性確認や内容の充実を図り、論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
当初の研究期間内で得られた成果が予想外の展開を見せており、論文化のためにさらなる検証実験と再現性確認を行う必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の追加実験と再現性確認実験を行うための消耗品、および実験を担当する2名の博士研究員の雇用経費の一部を計上している。これに加え、論文投稿後に査読者から要求される可能性がある実験経費にも用いる予定である。
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Research Products
(31 results)